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「哀 奴 ま ど か」作:イネの十四郎

(この小説は「ひとみの内緒話」のイネの十四郎様より投稿して頂いたものです。)

レズSM


序 章:創 生

アアァァッッ・・アアアァァァッッッ・・・アァッ、アァッ・・・

・・・これで何度目になるのでしょうか。
果てしのない苦痛の中に、私はまた絶頂を迎えようとしているのです。

本来なら、甘美な快感をもたらしてくれるあの淫靡な器具が、私の敏感な器官を苛み続けているのです。
これほど長い時間、永遠かとも思われる時間を責め続けられると、これは苦痛・・・本当に苦痛でしかないのです。

その苦痛の中で、私の肉体はまるで機械のように一定の周期で反応してしまい、大波の頂点を超えて、また谷底に転がり落ちるのです。

そう、私は奴隷・・・性の奴隷なのです・・・


私の名は「まどか」、ある大学の付属高校3年生です。
体付きはどちらかと言えばふっくらとしている方でしょうか。
一応クラスでは美形、というよりカワイイと言われています。
街を歩いていると、時々声を掛けられることもあるので、まんざらでもないのでしょう。
昔は、こんな奴隷になる前は、男性から声を掛けられるのは少し嬉しかったのです。

私は4人家族、父母と妹、それに子猫のミミがいます。
私の家庭は裕福な方なのでしょう、付近でも大きな家に住んでいます。

父は仕事の都合で、よく外国に出張しています。
ある商社の役員を務めているのです。

私と妹――同じ高校の1年生です――が大きくなってからは、母を伴って出張することが増えました。
向こうでは、人を招いたり招かれたりする時に、夫婦揃っている方が、都合が良いそうなのです。

その留守の間、私と妹の2人だけでこの家で過ごすのです。

妹は、学年は2年下なのですが、誕生日の関係で実際には1歳と3ヶ月位しか離れていないのです。
内気な私と違って、明るい、積極的な性格だと思います。
小さい頃からスポーツをしていたからでしょうか、体格も私より大きい位です。
2人で並ぶと、知らない方は私の方が妹だと思われることも多いのです。


私には、幼い頃から被虐への願望があったようです。
テレビや映画の中で、美しい女性が悪役に捕らえられるシーン、少女漫画の中でヒロインが男の人にいたぶたれるシーンを見つけると、心の奥に何とも言えない感覚が湧き起こるのです。
甘いような、酸っぱいようなその感覚の中で、「あぁ、私もあんな風に苛められてみたい」と思っていたのです。

もちろん、私はそんな気持ちを誰にも気取られないようにしていました。
誰も知らない、私だけの秘密だったのです。


去年の夏、私がたまたま家に1人でいた時のことです。
その日私は、インターネットでいろいろな検索をしてみたのです。

検索キーは「拷問」「奴隷」「苦痛」・・。
そうして見つけたHPを、次々と見ていったのです。
一つのHPから次のHPへ、リンクを辿り続けたのです。

表示される画像はどれも衝撃的な、私にとって余りにも衝撃的なものばかりでした。
私は魅入られたように、パソコンの前から離れることができませんでした。

やっとの思いでパソコンの電源を切ったのは、もう真夜中を過ぎていたのでしょうか。
その時、私の下着はぐっしょりと濡れていたのです。


その日から毎晩、私はネットでこのようなページを探しては、その画像を脳裏に刻み込み、夜が更けるまでオナニーに浸るようになったのです。
性器を強く摘んだり引っ張ったりする、自虐的な行為を交えるようになったのも、その日からのことだったのです。


私のこの性癖・・自虐癖は徐々に深まり、乳首を洗濯バサミで挟んでみたり、自分の身体にロープを巻き付けて、オナニーをするようになって行きました。
そうして、私は誰かに捕らえられ、酷い拷問に掛けられている場面を夢想するようになっていたのです。


もう秋も深まった頃だったでしょうか。
その日、私は昼の内に買い物に出かけ、特別バネの強そうな、狭窄面がギザギザの洗濯バサミを買ってきたのです。
それを付ける時のことを想像して、昼からずっと興奮していました。

そして夜、何時もと同じようにインターネットに接続し、私の好みの画像を見ていたのです。
その頃には、お気に入りのサイトが私のパソコンに、幾つもブックマークされていました。

私は画面を見つめたまま、昼間に買っておいた洗濯バサミを取り出し、そっと乳首に宛います。
そして、乳首をつついたり、ギュッと押したりして暫く過ごしたのです。
私の頭には、何時もの妄想が湧き上がっていました。

今、私は悪い人たちに捕まえられている・・・
そしてこれから拷問されるのだ・・・
つらい、残酷な拷問に掛けられるところなのだ・・・

ふと目を落とした私は、思い切って洗濯バサミを開き、乳首を挟んだのです。

・・・ッッッ・・・

危うく出そうになる悲鳴を、必死の思いでかみ殺さなければなりませんでした。
それは、一瞬頭の中が白くなるほどの激痛でした。
私は息を詰めるように、歯をくいしばるようにしながら、次の洗濯バサミを取り出し、もう一方の乳首にも噛み付かせたのです。

もはや、僅かな身動きをしても胸先の洗濯バサミが揺れ、信じられないほどの痛みが全身を駆けめぐるのです。
そのままそっと股間に手を伸ばし、オナニーをしようとしたのですが・・・
余りの激痛のため、部屋の照明もパソコンもそのままに、私は気を失ってしまったのです。


乳首に刺すような痛みを感じて気が付くと、妹が私の部屋にいたのです。
妹は私の横に腰を降ろし、時々指で私の胸の洗濯バサミを弾いていたのです。

部屋の電気がつけっぱなしだったから、見に来たんだけれど・・・
そう、お姉チャンはこういうことが好きなんだ・・・
アタシも大好きなの・・これからうんと遊んであげる・・

本当は前から知っていたんだ・・・
お姉チャン、痛い目に遭わされるのが好きなんでしょ・・手伝ってあげるネ・・

それとも・・お父さんや、お母さんに言う方がいい?・・

こうして、私は妹の奴隷になったのです。
あの日から、この家は私の牢獄・・そして私を責め苛む刑場なのです。


第1章:堕 る

あの日から一週間も経たない内に、私はご主人様に身も心も完全に支配されてしまいした。

ご主人様は毎晩私の寝室を訪ねられ、私を様々に愛撫して下さるのです。
もちろん私は全裸になって、ご主人様のおいでになるのを待っていなければならないのです。

最初の内こそ、私もご主人様の身体をいろいろとお慰めしたのですが、ご主人様はご自分の身体に触れられるのは、余りお好きでないようです。
2~3日も過ぎると私は、柔らかい綿のロープで手足を固定され、一つの抵抗も許されず、ご主人様の気の向くままに弄ばれ、責められることになったのです。


あの洗濯バサミは、ご主人様のお気に入りになってしまいました。
毎晩のように私を飾る、赤い小さなプラスチックの装身具に、何度涙を流したのでしょうか。

最初は単純に、私の乳首に取り付けるだけだったのです。
でも直ぐに、私が耐えられないように、いろいろと工夫されるようになられたのです。


まず、私が声を出せないようプチタオルかハンカチを、口の中に詰められます。
そうした後、取り付けた洗濯バサミを強く引いたり、私が拘束されて自由にならない体を捩り、脂汗を流すまで捻り廻されたりされるのです。
私は必死にイヤイヤと首を振り、涙を溜めた目で許しを請うしかないのです。


ある時は、始め縦に噛まされた洗濯バサミを一旦外されて、直ぐに今度は横向きに噛まされたのです。
ご存知でしょうか、乳首に食い込んだ洗濯バサミは、外される時に強烈な痛みをもたらすのです。
その疼きが消えぬ間に、直ぐに別の向きに噛まされる時の激痛は、本当に耐えられるものではないのです。

その日は、4度も5度も、続けざまに噛まされては外され、外されては噛まされたのです。
私はタオルで塞がれた口から、くぐもった悲鳴を上げ続け、やっと許して頂けた時には、私の乳首は真っ赤に腫れ上がっていたのです。


そしてあの日――いつものように、ベッドに縛り付けられるのではなく、後ろ手に拘束されただけで――私は、気を付けの姿勢を取らされていました。

ご主人様は隠し持っていた洗濯バサミを見せて下さいました。
それはご主人様によって、実に残忍な責め具に変身していたのです。

まず私の小さな乳首を挟む、あのワニ口の部分に、何重にも輪ゴムが巻き付けられていました。
更に握り拳ほどの大きさの石が、糸で洗濯バサミに取り付けられていたのです。

そのままでも、あれほどの激痛を与えるバネなのです。
それを何倍にも強力にする仕掛けを施されて、あれで挟まれたらきっと潰れてしまいます。
その上、あの石の重さで引張られるのです。

私は想像するだけで、ガタガタと震えだしてしまいました。

アラ、まどか・・嬉しそうネ・・・
そんなに喜んで貰えるなんて、今日ズット考えてた甲斐があったわ・・・
そんなに催促しないの・・直ぐに付けてあげるから・・・

違うのです。
怖くて震えているのです。
でもそんなことは、ご主人様は見通しておられるのです。

ご主人様は焦らすように、私の乳首を撫でたり擽ったりしながら、遊んでおられるばかりでした。

何時、あれが使われるのだろう・・何時、私に噛みつくのだろう・・

私は不安と、そしてホンの少し期待の入り混じった気持ちで、机に置かれた洗濯バサミを見つめるばかりでした。

フフフ・・欲しいんでしょ・・早く苛めて欲しいんでしょ・・・
だったら、チャンとおねだりしなさい・・・
「まどかは、悪い子です。お仕置きして下さい」って・・・
言わないと、このまま帰るから・・・

意地悪なご主人様のお言葉です。
私は、喉まで出かかった台詞が、それでもなかなか言えないのです。

死ぬほどの苦痛に身悶えすることになるのか・・
このままモノ足らぬ気持ちで終わるのか・・
どちらも私には、選ぶことができないのです。

いいのよ・・黙っているなら、もう二度と来ないから・・・
まどかは、一人で生きて行きなさい・・・

あぁっ、そんなのイヤです。
私は思い切って、お願いすることにしました。

そうしなければならないのです。
もう私には、ご主人様のいない生活なんて、考えられないのです。

まどかにご主人様のお作りになられた、その新しい・・のを、飾って下さい・・

私の耳に聞こえたのは、掠れて震えながらおねだりする、哀れな奴隷の声でした。
言い終わってご主人様に目を向けると、ご主人様は嬉しそうに微笑まれていたのです。

きっと激痛に咽ぶ私を想像して、楽しんでおられるのでしょう。
私も、胸の奥からこみ上げてくるものがありました。

でも、実際に起こったことは、想像以上のことだったのです。

いいわね・・絶対に声を出さないのよ・・・
みんなが起きてきて、こんな姿を見られたくないでしょ・・・

コクッと頷いた私に、ご主人様は二つの石を左手で持ち上げます。
石から垂れた糸の先端で、洗濯バサミが揺れています。

ゆっくりと近づいたご主人様は、洗濯バサミを一つ取り上げると、指に力を入れてそれを開きました。
指が白くなるほど力を入れておられます。
それ程閉じる力が強力なのです。

私はこみ上げる恐怖に思わず顔を背け、固く目を閉じてしまったのです。

・・ックククゥゥッッッ・・・

想像を絶する激痛が、私の乳首を襲いました。
私は何も考えられず、目を開いても霞んで見える部屋の中が、ゆらゆらと廻っているだけなのです。

感じるのは、確かに存在するのは乳首の痛みだけ・・それ以外に何もない・・・
地獄、まさに地獄の底に突き落とされたと思ったのです。
しかし、これが入口にすぎなかったとは・・・

ククク・・クワアァァァッッッッ・・・

もう一方の乳首からの激痛が、全身を駆けめぐります。
不思議なことに、両方の乳首の痛みを、同時に感じることができないのです。
一方の乳首からの、引き千切られるような痛みが私を苛むと、次の瞬間には反対の乳首が、この世にあるとは思えない痛みを訴えるのです。
痛みは交互に、切れ目なく続き、そしてどんどん酷くなるのです。

とても耐えられない・・・もう、とても我慢できない・・・

許しを願おうと目を開けた時、私の涙に霞む目にぼんやりと映ったご主人様は、ちょうどあの錘の石を、乳首の高さに持ち上げておられて・・それをパッと放されたのです。


気が付いた時、私はベッドに寝かされておりました。

後で聞いたことでは、石が落下した衝撃であの強力な洗濯バサミが、私の胸から弾け飛んだのです。
さすがに大きな悲鳴を上げようとした私に、ご主人様は手で口を塞ぐように飛びつかれたのだそうです。
そのままベッドに倒れ込んだ私は、失神してしまったのです。

ご主人様は、私の縛めを解き、そして乳首に薬を塗って手当をして下さっていました。
ズキズキと疼く乳首に目をやると、薄く血を滲ませた何本もの擦傷ができていました。
そして、いつもの倍ほどにも腫れ上がっていたのです。

ご主人様が、優しく手当をして下さる度に、乳首に触れられる度に、とても耐えられないようなヒリヒリとした痛みが湧き起こるのです。
それでも、私はとても嬉しかったのです。


私はどこまで堕ちて行くのでしょうか・・でも、それが私の幸せなのです・・・


第2章:氷 雨

もう、クリスマスも近い頃でした。
その日の朝、私は妹と二人で、2日間の旅行に行く父と母を見送ったのです。
父と母を乗せた車が、交差点を曲がって見えなくなると、妹と私は顔を見合わせたのです。

そうなのです。
ホンの一瞬の目配せで、私達にはその意味が通じるのです。
二人の素晴らしい、誰にも邪魔されることのない、2日間が始まるのです。


明日まで、まどかは何も着なくていいのよ・・
下着も、洋服も、なにも要らないでしょ・・

早速ご主人様の命令です。
大急ぎで私が脱いだ服を、ご主人様は持っていってしまいました。

もう、大分前から、私の部屋の洋服タンスの鍵は、ご主人様が持っているのです。
私はご主人様のお許しがないと、洋服はもちろん、下着一枚すら身に付けることができないのです。


何一つ纏わぬ生まれたままの姿で、ジッと立っている私の周りを歩きながら、ご主人様が呟くように言われます。

まどかは、私の奴隷なのよね・・
奴隷は・・・何も持ってはいけないし、何も着てはいけないのよ・・
でも、まどかは奴隷のくせに、身に着けているモノがあるわ・・
今日は綺麗にして、本当の奴隷の姿になりなさいね・・

暫くの間、私にはご主人様の言われている意味が、判らなかったのです。
そんな私に構うことなく、ご主人様も服を脱がれると、さっさとシャワーを浴びに行ってしまいました。
私はぼんやりと立ちつくしていたのです。

まどかっ!!・・何をしているのっ!!・・早く来なさいっ!!!

突然、ご主人様の大声です。
私は慌てて、浴室まで走ったのです。


ご主人様はシャワーを浴びて、上気した身体をバスタオルで拭いているところでした。

まどかも、シャワーを浴びて、綺麗になっておきなさい・・
特にアソコは丁寧に洗っておくのよ・・

私は、命令された通りに身体を清めます。
言われたままに、特に念入りに石鹸を泡立たせていた時です。
剃刀を手にして、ご主人様が戻って来られたのです。

全身を、泡にまみれた私を見て、ご主人様が満足そうに頷きます。

いい子ね、まどか・・ご褒美に、今日は私がサービスしてあげる・・
その浴槽の縁に腰を掛けて、足を開きなさい・・

あぁ、ご主人様は私の若草を剃ってしまおうとしているのです。
恥ずかしい・・

でも私は、言われたとおりに足を拡げたまま、ジッとしていたのです。
剃刀の刃が、私の微妙な辺りでしきりに動いています。
サワサワとした感触が、次第に無くなって行きました。

私はそんなに濃い方ではなかったのです。
でもご主人様は丁寧に、時間を掛けて処理をして下さいます。

剃刀が私を刺激し続けている内に、何か切ない気持ちがこみ上げてきて、それで濡れてしまったみたいでした。

ほんとにまどかって、いけない子ね・・
濡らした罰として、今日はうんと恥ずかしい思いをさせてあげる・・

さっ、できたわよ・・ご覧なさい・・・

ご主人様は、私にシャワーを掛けると、鏡を指さしたのです。

あぁ、私のそこは、まるで幼女のようでした。
とても綺麗・・そう、私の望んでいた姿はこれだったのです。
もう後戻りはできないのです。

私は、恥ずかしさの余り両手で顔を覆って、動けなかったのです。
でも時々指の隙間から、翳りを失った可愛いふくらみを見つめていたのです。


午後の4時頃、私はご主人様の命令で買い物に出かけました。
買ってくるものは犬の首輪なのです。
私を繋いでおくためのものだと、ご主人様は言っておられました。

その日、朝から曇っていたのですが、今はパラパラと冷たい雨が降っています。
みぞれ混じりの雨のようでした。
それ程強くはなかったのですが、風も吹いていました。

私は家から15分位の所にある、ペットショップまで、ガタガタと震えながら歩いて行ったのです。
私に外出着として許されたのは、レインコートとゴムの長靴・・・それだけなのです。
薄いレインコートでは・・透けて見えることはないのですが、全く寒さが防げないのです。

小さな傘では避けることのできない雨滴が、コートの襟元や裾から容赦なく滲みてきて、身体を湿らせます。
吹き付ける風は、氷の刃のように私を苛むのです。


やっとの思いで辿り着いたペットショップに、しかし私は暫く入ることができませんでした。

レインコートの下に、何も着けていないことを気付かれるのではないか・・
でも、買わずに帰ったら、どんなに怒られるのでしょうか・・

そうしている間にも、身体が凍えて行きます。
それに、店の前にあまり永く立っていると、変に思われるかも知れません。

思い切って店の扉を開けた私は、大急ぎで犬の首輪と、それに繋ぐ鎖を買ったのです。
最初に目に付いた、赤く太い首輪と、銀色の長い鎖でした。

私は店員に何を言われたのか、殆ど判らないままにお金を払い、逃げるように店から飛び出したのです。


家に帰り着いたとき、ベルを鳴らしても玄関の扉は開きませんでした。
私は凍える指で何度も、何度も、ベルを押し続けたのです。

ふと気が付くと、扉の下の方に小さな紙が貼ってありました。
私は腰を屈めると書かれた文字を読んだのです。

┌────
 奴隷は傘を置き、裸足になって庭に回ること。
                 ────┘

ご主人様の命令が、書かれていたのです。
私は長靴を脱ぎ、傘を畳んでその脇に置いて、濡れながら庭に回りました。

リビングの前まで来た時――庭のその部分は、両側にある食堂と応接室に囲われ、周囲からは少し見えにくいのです――暖かそうな部屋の中から、ご主人様が私を見ているのに気が付いたのです。

私は早く部屋に入れて貰いたくて、大きな窓に近づこうとしたのですが・・
ご主人様は、用意しておられた紙に書かれた命令を見せたのです。

┌────
 裸になって、首輪を付けなさい。
           ────┘

あぁ、そんな・・酷すぎます・・
やっとの思いで買ってきたのに・・
こんなに寒くて、凍えてしまいそうなのに・・

そんな不満が、顔に現れていたのでしょう。
ご主人様は、鼻をならされるようにすると、プイっと向こうをむいてしまわれたのです。

しかたがありません、私はご主人様の奴隷なのです。
でも、あまりの仕打ちに、少し反発を感じてしまったのです。


私は心の隅に疼く、苦い固まりを押さえ付けるようにしながら、殆ど感覚のなくなった、自由にならない指でレインコートのボタンをのろのろと外したのです。

再びこちらを向かれたご主人様は、これまでなかったような冷たい目で、私を睨んでおられました。
怒っておいでなのです。

あぁ、でも・・・私だって・・・

しかし私は、ご主人様の目に追われるように、やっとの思いでレインコートを脱ぐと、買ってきた首輪を自分で付けたのです。

ようやく窓が開き、暖かそうな衣服に身を包んだご主人様が出てこられました。
片手に傘を、そしてもう一方の手には手錠を持っておられます。

まだ家の中に入れて貰えないのです。
私を、もっと辛い目に遭わせるおつもりなのです。

お願いですっ・・中に、もう中に入れて下さいっ・・・

思わず声を上げた私は、ご主人様の横をすり抜けて、部屋に入ろうとしたのですが・・・。
素早く私を捕まえたご主人様は、私を後ろ手にして持っておられた手錠を掛けてしまったのです。
そして、涙を流してイヤイヤをしている私に、今度はゆっくりと買ってきた鎖を首輪に繋いでしまいました。

もう私には、逃げる術もなくなったのです。

首輪に繋いだ鎖の、反対の端を持ったご主人様は、庭の真ん中に、私を引いて行きます。
もうその頃には、周囲は暗くなっていましたが、誰かに見られたらどうしようと、私は不安で一杯でした。

太い庭木の前まで私を連れだしたご主人様は、私の頭の上にある枝に鎖を巻き付けて、繋いでしまわれたのです。

あと30分・・5時半になったら、家に入れて上げるからね・・・
それまで雨に打たれて、よく反省しておきなさい・・・

ご主人様はそう言い置いて、家の中へ戻られたのです。
明るい窓越しに、ご主人様がゆったりとソファーに腰を降ろし、読書されているのが伺えます。
対照的に哀れな私は、歯の根も合わないほどガタガタと震えながら、裸身を氷雨に打たれ続けていたのです。

ご主人様・・あんまりです・・
私は・・私は、ご主人様の気に入るようにしているのに・・
ご主人様と、一緒にいたいのに・・ご主人様に、可愛がって欲しいのに・・

それは気の遠くなるような、永い、永い時間でした。
最初は寒さで、冷たい雨が針に刺されるような痛みと感じていた身体が、次第に感覚を失い、私は眠気に襲われ始めたのです。

これではいけない・・ここで寝てしまったら・・
私は首を吊られて・・死んで・・しまうかも・・
そうしたら・・もう・・ご主人様の近くに・・行くことも・・できない・・

時々薄れる意識に首が締まり、ハッとして我に返るのでした。
そんな私の様子に気が付かれたのでしょうか、それとも時間が来たのでしょうか。
私は夢遊病者のようにご主人様に連れられて、部屋の中にいたのです。

ご主人様は、お風呂を用意して下さっていました。
私は首輪だけを外されて、手錠のまま、そっと抱き抱えられるように湯船に漬けられたのです。

用意してあったのは、温(ぬる)いお湯だったのですが、徐々に感覚が戻ってきた身体には、まるで熱湯のようでした。
全身の激痛に私は悲鳴を上げ、泣き叫びながら浴槽から出ようともがいたのですが、ご主人様に許して頂けませんでした。
肩まで何とかお湯から出ると、強い力で押さえ付けられて、また湯船に沈められるのです。
僅か数分の内に、私の身体は真っ赤に火照っていました。

ようやく許されて、タオルで身体を拭いて頂いた私は、ご主人様とリビングに戻り大きな鏡の前に立たされたのです。

泣きそうな顔で、雨に濡れているまどかって、とっても可愛かったわよ・・
それにまどかの身体、綺麗だし・・まどかのこと、とても好きよ・・
今日はお食事をしたら、もう休みなさい・・
また明日、うんと苛めてあげるから・・・

鏡の中で私の顔が歪み、ふいに泣き出してしまったのです。

そうだったのです。
ご主人様は、私を虐めるためだけに、あんな目に遭わしたのではなかったのです。
ご主人様も、私を好いて下さるのです。
それに気付かせるために、それを言うために、あれだけのことをして下さったのです。

それならば、私も嬉しいのです。
それならば、あの辛さも耐えられるのです。

ご主人様が喜んで下さるのなら・・・愛して下さるのなら・・・


私は奴隷として、これからも一緒に生きて行く・・ご主人様の奴隷として・・・


第3章:姿 見

やっと春らしくなってきたその日、私は何時ものようにご主人様に愛されていたのです。
その日は、父と母が1週間の予定で外国に出張した3日目のことだったのです。

その頃にはご主人様もいろいろと研究をされていて、その度に私は耐えられない程の辛い思いをさせられるのです。


私は部屋の真ん中で、一時はやった「ぶら下がり健康器」に、両手を真っ直ぐ上に延ばして、一纏めにして縛られていました。
両足も健康器の左右の脚に、それぞれ固定されていました。
私は僅かに腰の辺りを揺するしか、身動きができないようにされていたのです。

私の前には、大きな姿見が置かれています。
私を固定した後、私に自分の姿が見えるよう、わざわざご主人様が部屋の隅から運んできたのです。

鏡に映った私は、何という滑稽な姿なのでしょう。
「人」の字の形に吊し上げられて、誘うように、促すように翳りのない丘をくねらせているのです。

・・・そうなのです。
私は、あの最初に剃られた日以来、毎日自分で綺麗にしておくよう命令されているのです。

フフフ・・そんな格好のまどかって、スゴク可愛いわよ・・
今日はね、この前からズット考えていた、とってもイイコトしようと思うの・・

まどかは、この頃すごく感じやすくなっているから・・・
罰として一番感じるところに、お仕置きしてあげるわ・・・

でも、まどかは耐えられるかな・・我慢できないかも知れないね・・・
可哀相だから、一回だけ許されるチャンスをあげるね・・・

そう言われてご主人様が取り出したのは・・ご主人様の新しいおもちゃ、ピンクのパールロータだったのです。

ご主人様もインターネットを使って、最近いろいろなものを集めておられるのです。
それは皆、私の身体を責め苛むために購入されるものばかりでした。

私にパールロータを見せつけながら、ご主人様はこんなコトを言われたのです。

お仕置きされるのがイヤだったら、何も感じないことよ・・・
もし、大きくしちゃったら、とっても辛いことになるからね・・・

そんなことを言われても無理です。
あのパールロータには、昨日も、その前の日も散々に囀らされたのです。
執拗に、私の敏感な器官に押し当てられ、私は無理に興奮させられ、そこを大きく勃起させられて、何度も何度も頂点に追いつめられたのです。

それを耐えろなんて・・・

でも、もし耐えられないと、ご主人様の微笑みを見ていると、もっと、もっと辛い眼に遭わされるのでしょう。
私には、判っているのです。
ご主人様の瞳は、残忍な期待に輝いていました。

許して・・お願い・・・でも、ご主人様のお仕置きをして・・下さい・・

私はイヤイヤと、首を振ることしかできませんでした。
それでいて、私はお仕置きを、もっと辛いお仕置きを望んでいるのです。

もちろんご主人様が、容赦をしてくれる筈はありません。
私の前に来てしゃがまれたご主人様は、私の襞をそっとかきわけると、プ~ンという微かな音を立てているロータを、押し当てたのです。

アアァッ・・・気持ちイイ・・・やめないで・・・

私にも、忽ちそこが勃起してしまったのが判りました。
鏡に映るそこは激しく充血して、イヤらしい色の頭をもたげ、誘うように痙攣していたのです。

まどか、やっぱりイヤらしいのね・・・
本当に辛い、お仕置きをされたいのね・・・

イヤです・・許して下さい・・・でも・・このままでもイヤ・・・
まどかに・・・死ぬほど辛いお仕置きを・・・して・・・下さい・・・

私の前でしゃがまれたご主人様の指が、私の微妙な辺りでしきりと動いています。
私はただ、敏感な器官が訴える苦痛を耐えるしかありません。

見ているとご主人様は、私のク○○○スを、最も敏感なところを摘んで、その頭が剥き出しになるように、包皮を剥きあげておられるのです。
私は、そっと優しく触られてさえ激痛を感じる部分に、容赦なく加えられる作業を必死に耐えていたのです。


アアァッッ!!!

突然の激痛に襲われた私は、一瞬何をされたのか、どこに加えられた痛みなのかすら、判りませんでした。
暫くするとその痛みは鈍い疼きに変わり、漸くク○○○スに酷いことをされたのが判ったのです。

フフフ・・・どう、まどか・・・
今、まどかのイヤらしいところの根本を、タコ糸で縛ってあげたのよ・・・

感じる?
・・・感じるでしょ?
・・・だって、もの凄く膨らんでるし・・・
もっと、もっと、て言ってるみたい・・・ピクピクしてるから・・・

でもね、まどか・・・本当のお仕置きはこれからなの・・・

そう言ってご主人様は、更に道具を集めに部屋を出て行かれたのです。

私はじっと鏡を見つめています。
鏡の中で、「人」の字にされた私の真ん中で、敏感な突起が両側に糸を垂らしたまま、紫色にされて震えているのです。

この上もっと酷いことを・・・
あぁ、イヤ・・・でも、嬉しい・・・

私はご主人様の奴隷なのです・・・
だから、好きにして下さい・・・
私をメチャメチャにして下さい・・・

身体の奥が疼いています。
鏡の中で、私はもじもじと腰をくねらせているのです。

ご主人様は500ccのペットボトルを2本、手にして戻って来られたのです。
私の様子を観察されたご主人様は、嬉しそうに言われます。

気に入ってくれたみたいね・・・そんなにもじもじして・・・

この糸はね、まどかの大切なところを、一回だけ結んであるの・・・
2回結んで堅結びにしちゃうとね、弛まなくていいんだけど・・・
でも、そうすると、それ以上強く縛れないでしょ・・・

今から、ずっと強く縛ってあげるから・・・
どこまで食い込むかしら・・・楽しみだわ・・・

しゃべりながらご主人様は、糸の両端に持ってきたペットボトルを、一つづつ結びつけているのです。

どうするか判る?・・・このままペットボトルをぶら下げると・・・
そしたら、スポッと抜けちゃうよね・・・
だから、こうして、両側の支柱の、丁度の高さの所に引っかけて・・・
それから手を放すとね・・・どう?
まどか、気に入った?・・・

アァァァッッ・・・イ、イ、イタイ・・・
ソンナ・・ヒドイ・・ユルシテ・・オネガイ・・デス・・

糸がペットボトルに引かれて、ピンと両側に張っています。
一回だけ結ばれた私のク○○○スは、結び目を両側から引かれ、どんどんと強く締め上げられて行くのです。
鏡を見ていると、少しはピンク色を取り戻していたそこは、忽ち赤黒く染まり、普段の3倍以上の大きさに膨れ上がっています。

ア~ラ、すごく鬱血したわ・・・
嬉しいでしょ・・・こんなになると、すごく感じやすくなってるわね・・・
糸なんかすっかり食い込んで、埋まってしまって見えないくらいよ・・・
でも、本当にイヤらしい色ね・・・もっと苛めて欲しいのね・・・

支柱の、糸を掛けた所は、私のク○○○スの位置より少し高いようです。
そのため、糸は両方とも斜め上に引かれていて、私のク○○○スを吊り上げるように、なっているのです。
私は、少しでも動くと引きちぎられるような激痛に見舞われるのです。

イタイ・・イタイ・・タスケテ・・ガマン、デキナイ・・・。

これまでも、ご主人様にいろいろな痛さを教えて頂いたのです。
でも今日の痛さは、また特別です。

とても耐えられない・・でも、失神することも許されない、私の最も敏感な器官に加えられる、信じられない苦痛です。
私は、全身に汗を浮かべて、ひたすら解放される時を待つしかないのです。


ご主人様は椅子を持って来られると、私の前でその椅子に馬乗りに座られたのです。
そして、ちょうどご主人様の目の前になった私のク○○○スを、つついたり摘んだりして、楽しまれているのです。

私は身を捩り、腰を振るわせながら、脂汗を流し続けたのです。
しかし、流されたのは、絞り出されたのは、汗と涙だけではなかったのでしょう。

アラ、ずいぶんグッショリと濡れているじゃない・・・
気に入ってくれたのね・・・嬉しいわ・・・
まだ時間もたっぷりあるし・・・もっと、イイコトしてあげるから・・・

フフフ・・・これは、どう?・・・さっきとは、感じが違うかな・・・

そう言いながら、なんとご主人様は鬱血している頭のところへ、パールロータを押し当てたのです。
その刺激は、いや、激痛は、私の頭に突き刺さり、私は喉も裂けるほどの悲鳴を上げ続けたのです。

私は全身がガクガクと痙攣するのを、止めることもできませんでした。
その度に糸が締まり、締め付けられている根本が、本当に千切れそうに痛みます。

やっとロータを、離して頂けたので、今度は本当に必死でお願いしたのです。

お願い・・お願いです・・まどかは・・・チギレそう・・・
本当にイタイ・・・許して・・ガ、ガマン・・・デキ・・マセン・・
何でも・・シマス・・・オネガイ・・・・・許して・・クダサイ・・・

私の様子を、ジッと見ていたご主人様は、私のあそこに手を当てられたのです。
そして、身を捩って耐えている私に言われたのです。

まだチョットしか経っていないのに・・・残念だわ・・・
本当に我慢できない子ね・・・まどかって・・・

でも、今日は許してあげる・・・糸も赤く染まっているし・・・
ここも、さっきより膨らんでいるわ・・・
糸を解く時、今までより痛いわよ・・・
2・3日はきっと歩けないわね・・・

残念そうに、それでもご主人様はペットボトルを持ち上げ、糸を鋏で切って下さいました。
これで吊り上げられている状態からは許されたのですが、相変わらずきつく締め上げられた結び目はそのままです。

ご主人様の言われたとおり、信じられない大きさに腫れ上がったク○○○スは、赤く染まった糸を垂らしたまま、どす黒い色を晒して震えているのです。

どうやってほどくかな・・・こんなに食い込んじゃって・・・
とっても指ではできないね・・・まどか、そのまま待っててね・・・

そう言って部屋を出て行かれたご主人様は、直ぐに戻って来られたのです。
手には爪楊枝の入れ物を、持っておられました。

いま、これでほどいてあげる・・・
少し痛いかもしれないけど、我慢するのよ・・・

ご主人様は跪き、顔を近づけて、糸を解いて下さろうとしています。
でも、なかなか上手く行かないようです。
あまりに糸が食い込んでいるのと、私のが腫れ上がっているために、爪楊枝が結び目に掛からないのです。

何度も、何度も、私の敏感な部分に尖った先端が突き刺さり、その度に私は悲鳴を上げ、身を捩って苦悶し続けたのです。

・・・それともご主人様は、わざとされたのでしょうか。


漸く全ての作業が終わり、手足の縛めも解かれたとき、私は立っていることもできなかったのです。
ご主人様に手伝って頂き、やっとの思いで立ち上がっても、とても歩くことができません。
私のそこは、まだ腫れたままでした。


それから3日間、私はベットで過ごしたのです。
その間、ご主人様はとても優しく、私の世話をして下さったのです。

私のご主人様への思いは、一層募るばかりでした。
でも、私には淡い失望が・・身体の奥の方にある、咽ぶような満たされない疼きが消えなかったのです。
その疼きが、少しづつ大きく、強くなってくるのです。


あぁ、あれ程して頂いたのに・・私は欲張りなのでしょうか・・ご主人様・・・。


第4章:子 猫

5月の連休も終ったあの日、父と母は晩餐会を兼ねたピアノリサイタルに夕方から外出されたのです。
出かける時、11時頃までには帰宅するからと、言っておられました。

妹は、学校のクラブ活動のためでしょうか、父と母が出かける時には、まだ帰宅していませんでした。
それで私は暫くの時間を、一人だけで過ごしたのです。
その頃の私は、一人になると何時も考えてしまうのです。

私の、あの欲求は満たして頂けるのでしょうか・・・
身体の奥で、咽び泣いているあの欲求を・・・
私の敏感なところを責めて下さるだけでは、もう満たされないのです・・・
このことに・・・何時ご主人様は、気が付いて下さるのでしょうか・・・


ご主人様と、二人だけになる日のお料理は、私が作るのです。
私は全裸のまま、小さなエプロンだけを着けた姿で、台所に立つことになっているのです。

その日も、時間が来ると命令されている通りの姿で台所に立ち、いろいろとご主人様のお好みのお料理を、作り始めたのです。

そうなのです。
私は、ご主人様がいないからといって、ご主人様の命令に背くことはしないのです。
そんなことは考えることさえ、しなくなっていたのです。

ご主人様の子猫――その頃には、かなり大きくなっていましたが――のミミが、こんな時はいつも私の足にじゃれています。
私の裸足の臑に、爪を立ててじゃれるので、とても痛いのです。

でも、私はミミを追い払うことができないのです。
もし、追い払おうとしてミミに触ったり、いや、私が逃げようとしてさえも、ご主人様に酷く怒られてしまうのです。

ミミもそれを知っているのでしょうか、いつも台所に来ては、私の足に爪を立てて遊んで行きます。
だから私の足には、いつも小さな擦り傷が、たくさん付いているのです。


その日、もう暗くなってから帰宅されたご主人様は、何か嫌なことがあったのでしょうか、とても不機嫌なご様子でした。

こんな時はいつも、私に辛く当たられるのです。
今日も、きっと残酷な、耐え難いほどのお仕置きをされるのでしょう。
わたしは、その時が来るのを想像するだけで、期待に胸が騒ぐのです。

どんなお仕置きなのでしょうか・・
どれ程辛い眼に遭わされるのでしょうか・・

お願いです、ご主人様・・今日もまどかを、愛して下さい・・・
そして、機嫌を直して・・・いつもの、朗らかなご主人様に戻って・・・
まどかに、どんなことをされても・・構いませんから・・・

でもお願いです・・・その後で、私を、まどかを満足させて下さい・・・

私は、心の呟きを声にだすことはできませんでした。
私はご主人様から話しかけられた時しか、お返事することができないのです。
勝手にオシャベリすることは、許されていないのです。

それでご主人様と私は、黙ったまま食事を済ませたのです。
ご主人様は食事が終わると、さっさと2階に上がって行かれました。
私は急いで、食後の後始末を始めたのです。

まどかっ!!・・早く来なさいっ!!・・・

まだ、幾らも時間の経たない内に、ご主人様の大声です。
私は慌てて、それでもイソイソとして寝室に上がったのです。

私の寝室のベットは、布団も上掛けも取り払われていて、マットレスの上に直接ビニールのシートが敷いてありました。
四隅の脚には柔らかい綿のロープが結ばれています。

私には、直ぐに判りました。
今日はこの上で、手足を「X」字型に固定されて、嬲られるのです。
私は期待を胸に、ご主人様が何も言う前にベットに上がり、手足を伸ばして横たわったのです。

ご主人様は私の手足を固定すると、いつものように私を責めるための、道具を集めに出て行かれました。
戻って来られたご主人様が持っておられるのは・・牛乳のパックと小皿、それに小さな絵筆なのでした。
ご主人様が開けたままにしていた扉から、ミミがのんびりとした様子で入って来ました。

イヤ・・たとえミミでも・・・・こんな私を見られるのは・・恥ずかしい・・・

でも、ご主人様は一向に構わないご様子です。
それどころかミミを抱き上げると、意地悪なことを言われます。

ミミちゃん・・お腹が空いたでしょ・・・。
今日はね・・・・変わったミルクを、たくさん飲ませてあげるね・・・。

そう言ってミミを、私のお腹の上に降ろしたのです。

あぁっ、イヤッ・・・

私は反射的に身を捩り、ミミを振り落とそうとしたのですが、却って爪を立てるようにして、しがみついて来るのです。
鋭い爪が私のお腹に食い込み、とても痛いのです。

フフフ・・・今からそんなに、喜んでいいのかしら・・・
今日はミミちゃんが、素敵なお仕置きをしてくれる筈よ・・・
ゆっくり楽しんでね・・・

ご主人様が、牛乳を小皿に注いでいます。
そして私の横に立たれると、私のお腹の上に、お臍の当たりに、その牛乳を少しかけたのです。
ミミは喜んで、私を舐め始めました。

アアァァッッ・・クスグッタィッ!!・・イヤァッ!!・・・

私はそれまで知らなかったのです。
猫の舌が、あんなにザラザラしたものだったとは。

とても、我慢のできる擽ったさではありません。
ミミがペチャペチャと音を立てて、私を舐め回しています。

ヒィッ・・ヒィッ・・アゥッ・・ヤ、ヤメテッ・・・ヒィィィッッ・・・

私は何とか逃れようと、僅かにしか動かせない、不自由な体を必死に捩ったのです。
でもそのことは、ミミに一層強く爪を立てられるだけにしかなりませんでした。
私は擽ったいのと痛いのと、二重の苦痛に苛まれたのです。

ミミが牛乳を舐め終わると、またご主人様がかけてくれます。
私は、何時終わるとも知れぬお仕置きを、耐え続けるしかなかったのです。

それが・・・

最初は擽ったかったミミの舌が、同じところを・・私のお臍の周りを、何度も、何度も舐められている内に、痛みに変わり始めたのです。
私のお腹の、その辺りは真っ赤になってしまい、その中に何本もの掻き傷が走っていたのです。

今度は、ご主人様は絵筆を取り上げると小皿の牛乳に浸し、私の脇腹をス~っと撫で上げられたのです。

キャアアゥゥゥッッッ・・・ヒィィッッ・・・

予想もしていなかった部分に加えられた刺激に、私は固定されている手足に必死の力を入れ、身体を丸めて脇腹を庇おうとしたのです。
もちろん、叶うはずもない、無益な抵抗でしかありませんでした。
しかもその上に、私のお腹から飛び降りたミミが、喜んでそこを舐め始めたのです。

アアアァァッッ!!・・ヒッ!・・ヒッ!・・ヒェィッッ!!!・・・・

先程よりも、もっと、もっと辛い擽り責めです。
私は半狂乱のように、笑っているような、泣いているような悲鳴を上げ続けていたのです。

執拗に、何度も何度も、私の脇腹と腋の下が狙われます。
私は汗と涙と鼻水と涎で、顔をグチャグチャにしながら、泣き叫んでいたのです。
ほんの僅かに動かせる手足をバタバタさせ、身を捩り続けたのです。


どれ程の時間を責められたのでしょうか、私は荒い息をつきながら僅かな休憩を許されたのです。
私は必死にお願いしたのです。

これは・・とても・・が、我慢・・できません・・・
お、お、オネガイですから・・・・あ、あの・・ほかのことを・・・

ご主人様が、ジッと私を見つめています。
ご主人様の瞳がキラキラと、本当に美しく輝いていました。
あぁっ、きっと許して頂けないのでしょう・・・

私がもう一回、お願いしようとした時、ご主人様が言われたのです。

ミミちゃん・・変だよね・・ミルクは、そんなとこから出て来ないよね・・・
やっぱりミルクは、オッパイからじゃないと・・おかしいよね・・・

アァッ!!・・・そ、そんな・・・

私がなにも言う暇もない内に、ご主人様は私の胸の上に小皿を翳されると、乳首に牛乳を垂らされたのです。
ミミは、流れてきた牛乳を追うように、私に飛び乗ると、私の胸を前足で押さえ付けるようにして、乳首を舐めたのです。

爪を立てられた乳房の激痛を感じる暇もない内に、乳首に加えられた信じられない刺激に、私はそれこそ絶叫を上げ、身を悶えたのです。

私が身を揉み、捩るたびに、ミミは振り落とされまいとして、しがみついてきます。
私の乳房に、一層深く爪を立てるのです。
しかし私には、そんなことを考える余裕などなかったのです。

アアァッ!!・・アアァッ!!・・アアアアァァァッ!!・・・・

それは、まるでヤスリをかけられているようなものでした。
忽ちの内に、私の乳首は充血し、大きく尖り、なにもされなくてもズキズキと疼く位なのです。

その、血を噴き出すかと思うばかりに膨らんだ、そっと触られても飛び上がる程敏感にされた乳首を、あのザラザラの舌で舐め回されているのです。
あのご主人様の作られた、特製の洗濯バサミで苛められた時とは比べることもできない、辛い、本当に辛いお仕置きです。

ご主人様が手を休め、やっと許して頂けたと思った次の瞬間。

ッッキイィィィッッ!!!!

まだ牛乳を飲み足らないミミが、鋭い歯で私の乳首に噛み付いたのです。
その激痛に、あまりの激痛に、私は目の前が真っ白になったかと思い・・・そして、あの欲求が、あの疼きが、身体の奥で弾けるのを感じたのです。

アアァァッッ!!・・・オネガイッ・・・オネガイデスッ・・・
ワタシの・・机の・・一番上のヒキダシに・・・オネガイッ!!・・・

一瞬、怪訝な顔をされたご主人様は、それでも私の机に行き引き出しを開けられたのです。
そしてご主人様が取り出したのは・・・

もう、1ヶ月も前になるのでしょうか、私がインターネットを通じて購入したバイブレータだったのです。
太さは3cmもあるのでしょうか、イボのたくさん付いた、とても淫靡な器具だったのです。

暫くの間、ご主人様は凍りついたように、呆然とそれを見つめておられました。
漸く私のところに戻られたご主人様は・・

まどかって・・・まどかって・・・
不潔よっ!・・・きらいっ!!!・・・

いきなりバイブレータを、床に投げ捨てるようにしたご主人様は、そのまま私の寝室から走るように出て行ってしまわれたのです。
ミミもその後を追うように出て行きました。

一人残された私は、乳首から血を流したまま、肉体の奥で燃えさかる炎に、身を焦がし続けたのです。


あぁ・・ご主人様・・・この炎を、消して欲しいのに・・・
この、疼きを満たして欲しかったのに・・早く・・お願いです・・・
私は・・私は、我が儘なのでしょうか・・・欲張りなのでしょうか・・・


どれ程の時間が経ったのでしょうか、あの疼きも漸く静まり、私も少しは冷静になったのです。
気怠い頭で、暗澹とした気持ちを抱えながら、考え続けていたのです。

ご主人様・・私は・・私は・・・・我が儘でした・・・
ご主人様の気持ちを・・考える・・・・ことも・・ありませんでした・・
でも・・判って欲しい・・のです・・オネガイ・・です・・・
このまま・・見捨てないで・・・クダサイ・・・・・


いつの間にか、私はウトウトとしていたのでしょう、ふと気が付くと、ご主人様が戻って下さっていたのです。
ご主人様の顔にも、涙の跡が光っていました。

まどか・・さっきはゴメンね・・・ビックリしちゃった・・・
そうなの・・まどかは・・まどかは・・・して欲しかったのね・・・

でも、今日はイヤなの・・・私もまだ・・気持ちが落ち着かないし・・・
それに、もう遅いわ・・・もうすぐ、お父さん達も帰ってくる時間よ・・・
今度・・・この次の時は・・必ずね・・・

ご主人様は、いつものように私の傷の手当をされると、縛めを解いて下さり、そしてご自分の部屋に帰って行かれたのです。


私はその夜、微かな疼きを感じながらも、満ち足りた気持ちで眠れたのです。
その頃、眠れない夜が多かったのに、本当に安らかに眠れたのです。


有り難うございます、ご主人様・・・・私は待っています・・何時までも・・・


第5章:妬 心

もうあと数日で夏休みの始まる、あの日のことでした。
私は学校からの帰り道、男性に声をかけられたのです。

私の通っている高校は、ターミナル駅から電車で30分程の郊外にあります。
緑の多い住宅地の中の、静かなところです。
小学校から大学まで一つの敷地の中にあるのです。

その中で、高校は一番奥にあるので、バス通りに出るのに大学のキャンパスを、通り抜けて行くのが近道なのです。
その日も、いつものように大学の中を通っている時に、声をかけられたのです。

内気な私は、小さい時から人見知りをする方でした。
家にお客様が来た時も、なかなか満足な挨拶ができずに、よく父に叱られたものです。

その日、声をかけて来た方は・・・おそらく大学生なのでしょう、背の高い、優しそうな雰囲気の方でした。
しかし私は、知らない人に突然声をかけられても、お話などはとてもできないのです。
その時も、何とかご挨拶くらいはしようとしたのですが、口ごもるばかりで言葉にならないまま、私は逃げるように立ち去ったのです。

でも、何故か不快ではなかったのです。
もちろん私には、お付き合いをする気はありませんでした。
しかし、爽やかな風が吹き抜けたような、何かこの先に起こりそうな、そんな予感、胸の奥に甘い思いが微かに感じられたのです。


私の通学は、大学の前からバスに乗り、更に電車を乗り継ぐので全部で1時間ほど掛かります。
その日、偶然座れた私は、電車の中で考えていたのです。

ご主人様・・・あの日は有り難うございました・・・
あのミミに苛められた日から、あれは3日か4日後だったのでしょうか・・
お約束通り、ご主人様にあれを入れて頂いて・・嬉しかったのです・・

あの初めての、貫かれる苦痛とめくるめく快感・・・
私は何も考えられず、何の遠慮もなく、貪欲に浸ってしまったのです・・
あぁ、あの充足感・・今でも想い出すだけで、身体が暖まる程の満足感・・
学校でも「イイこと、あったんでしょ」と、からかわれるほどだったのです・・

でも、ご主人様・・その日から、来て頂けなくなってしまいました・・
私が、私だけが満足してしまうからなのでしょうか・・
ご主人様は、そういうことがお嫌いなのですか・・
それとも、もう私に興味がないのでしょうか・・

そうなのです。あの日から私は、ご主人様に来て頂いていないのです。
そのため、その頃の私は憂鬱な、暗い気持ちで毎日を過ごしていたのです。

私はもの静かな方ですし、喜怒哀楽を素直に表すことができないので、父母は何も気が付かないようでした。

もともと父は仕事で忙しく、殆ど家で顔を合わすことがありません。
母も地域のボランテアや、文化活動に参加していて、昼間家にいることは滅多にないのです。

ですからごく希にある、家族全員が揃う時間はとても貴重な一時なのです。
そのような時は、もちろん私も普段の通りに会話を交わしています。
相変わらず朗らかな妹は、よく他愛ない冗談を言っては皆を笑わせるのです。
そんな時は、私も一緒に笑うのです。

そうなのです。
何の変化もない、表面は何も変わっていない日常が続いていたのです。
でも私は、私の心はいつも沈んでいたのです・・・


そして明日から、いよいよ夏休みが始まる日、わたしはまた、あの時と同じ男性に、声を掛けられたのです。
私でも、2度目になれば少しはお話できるのです。
それでご挨拶だけをして、立ち去ろうとしたのですが・・・

ふと妹が、私たちを見ていることに気が付いたのです。
妹も下校の途中なのでしょうか、高校の方からバス通りへと歩いてくるところでした。

その時私に、つい悪戯心が湧き上がったのです。
それは、この頃愛して頂けない反発だったのでしょうか、それとも単なる好奇心だったのでしょうか。
私は暫くその男性と、お話をしてしまったのです。

その方は純情そうな、どちらかと言えば朴訥な、あまりお話の上手な方ではなかったのです。
でもその訥々とした話しぶりに、口べたな私は却って好感を持ってしまったのです。

お話によると、その方はやはりここの大学生で、もう2~3ヶ月も前から私のことを注目していたそうです。
そう言われて、嬉しくないはずはありません。
それで私は暫くの間、楽しくお話をしたのです。

お話をしながら妹の方へ眼をやると、妹は立ち止まって、ジッとこちらを見ていました。
強ばったような、信じられないといった顔つきをして、私の方を睨むようにしていたのです。
私はここ暫くの憂鬱を思い、仕返しができたような気がして、少し胸がスッとしたのです。


その日の夜のことでした。
私と妹は、洗面所で二人並んで、歯磨きをしていたのです。
やはり昼間のことがあったせいでしょうか、妹は少し暗い、思い詰めた表情をしていました。
それとも私がそれまで気が付かなかったのでしょうか・・・

この頃の私は、自分のことばかり考えていて、あまり妹の気持ちに思いを巡らすことは、なかったようなのです。

今度はいつ来て頂けるのだろう・・・
どんなことをして頂けるのでしょうか・・・

そんな自分の希望ばかり、自分の欲望ばかりしか考えていなかったのです。
そのことを話そうとして妹の方を向いた時、ふと妹の顔つきが変わったのです。

一瞬、遠くを見詰めるような、息を殺すようなその表情は、何か新しいことを思いついた時の、妹の昔からの癖なのです。

やがて我に返ったような表情を浮かべた妹は、初めてそこに私がいるのを気が付いたような顔をしたのです。
そして・・・

まどか、今日は楽しませてあげる・・後で行くからね・・・
昼間、あんなことをしたのだから、覚悟はできているわよね・・・

あぁ、来て頂けるのですネ・・・
まどかのこと、嫌われたのじゃなかったのですネ・・・

私は忽ち有頂天になってしまい、その時妹が哀しそうな眼をしていたのに、気が付かなかったのです。
どうして私は、こんなに自分勝手だったのでしょうか。


その夜、私はいつものように全裸になり、ご主人様のおいでになるのを待っていました。
でも、少し不安もあったのです。
本当に来て頂けるのでしょうか。

それに今日は、父も母も家にいます。
私が声を出せないよう、ちゃんと工夫して頂けるのでしょうか。

しかし私は考えるのをやめて、全てを任せるつもりだったのです。


もう真夜中を過ぎた頃だったでしょうか、やっと扉が開き、ご主人様が私の寝室に入って来られました。
私はホッとした安心感と、来ていただいた喜びと、これから始まることへの期待を込めてご主人様の方を見たのです。

薄暗い部屋の中で、ハッキリとは見えませんでしたが、ご主人様は少し青ざめているように見えたのです。

フフフ・・来てあげたわよ・・・
明日から夏休みだし・・暫く遊ばなかったから・・・
今日はうんと苛めてあげる・・・昼間のコトの償いも、させてあげるね・・・

さっ、ベットから降りて、床に座りなさい・・・

私はご主人様に言われた通り、ベットと机の間の床に正座したのです。
私は正座する時は、両手を背中で組むことになっているのです。
ご主人様が私の身体を自由にできるよう、何も隠さない姿勢になるのです。

その日も、いつものようにしっかりと手を組み、胸を突き出すようにして、ご主人様が次になさることを待っていました。

ご主人様は早速綿のロープを取り出されると、組んでいた手をそっと解かせて、私の左の手首を同じ側の足首に縛り付けたのです。
そして余ったロープを手に持ったまま言われたのです。

今度は横になって、手を伸ばしなさい・・・

私は自由な右手を後ろについて、そっと仰向けに横たわったのです。
それから両手を横に伸ばそうとしたのですが、足首に結わえられた左手がなかなか伸ばせないのです。
私は一所懸命に、膝を立てたまま足首を動かして、少しは手を身体から離したのです。

ご主人様はロープを張るようにしながら延ばして、私の重い机の脚にしっかりと結わえ付けたのです。
そして次のロープを取り出されたご主人様は、今度は私の右手首を縛り上げると、そのロープを部屋の反対側にあるベットの脚に巻き付けて、強い力で引かれたのです。

私は部屋の真ん中で、机とベットの中間で両手を左右に引かれ、左手首に縛られた左足の膝を立てたまま、殆ど身動きのできない状態にされたのです。

僅かに自由の残された右足で、股間が晒されるのを庇おうと虚しい努力をしていた時です。
更にもう1本のロープで私の右足首を縛ったご主人様は、そのロープをベットの脚に巻き付けて、容赦のない力でそれを引き始めたのです。

あああぁぁっっ・・イ、イタイィィッッ・・・

じりじりと両足が開かれるにつれ、内腿に裂かれるような痛みが走ります。
体育の授業で柔軟体操をする時の、両足を開き背中を押されて前屈する時と同じ痛みです。
柔軟体操ではすぐにやめて貰えるのですが、これは許されることのない痛みです。

メリメリと、内腿が音を発するような痛みでした。
私は身体が柔らかい方なのですが、それでも耐え難い痛みに、全身から汗が吹き出していました。
ご主人様がロープをベットの脚に固定したときは、私は「大」の字よりも「土」の字に近い形にされていたのです。

今度は私の口に、丸めたハンカチを押し込まれました。
その上からしっかりとタオルを巻かれ、私は全く声の出せないようにされたのです。
いつもより厳重な猿轡に、今日はとても厳しく責められるのだと感じられました。
しかしあれ程の目に遭わされるとは、思ってもいなかったのです。

私を固定したご主人様は、私の腰の下にビニールのシートを拡げ、敷いています。
きっと床がベトベトになるまで、汗と体液を絞り取られるのでしょう。

そして一度部屋を出て行かれたご主人様は、手に歯ブラシと、半分ほど水の入ったコップを持って、すぐに戻って来られたのです。

今日はね・・さっき思い付いたんだけど・・・・
まどかのあそこ・・・綺麗に磨いて上げるね・・・
他の人と話そうなんて・・絶対に許さないから・・・
もう2度とそんなこと、できないようにしてあげる・・

ご主人様の目が、燃えているようです。

やはり男性と、ご主人様以外の方とお話しするのは嫌なのでしょうか。
それならば、以前のように私を、まどかを毎日愛して下さればいいのに・・・ご主人様、どうしたのでしょう。
そんなことを考えている内に、ご主人様はまち針を取り出して言われたのです。

まどかのあそこ・・・隠れることができないようにしてあげる・・・
痛いわよ、きっと・・・我慢できないと思うな・・・ゆっくり味わってね・・・
今日はホントに虐めてあげる・・何時もと違うんだから・・覚悟してね・・・

アアァァッッ・・・そんなの、イヤです・・・
まどかを・・・まどかに、針を刺すなんて・・・
もうしませんから・・許して・・・

声を出すことのできない私は、必死に首を振って許して頂こうとしたのです。
そんな私に構うことなく、ご主人様は私の腰の向こう側に座られると、隠す術もなく開かれている私の股間に手を伸ばされ、恥ずかしい襞を押し拡げられたのです。
私の、あの敏感な突起が、ひんやりとした夜気に晒されます。
私は摘まれた激痛よりも、そこに針を刺される恐怖に、目眩がするほど強く頭を振り続けたのです。

イ、イヤ・・イヤです・・そんな酷いこと・・
ヤメテ・・オ、オネガイ・・ユルシテ・・・

アッ・・アッ・・アアアァァッッ!!!・・・

突然、鋭い痛みが私に襲いかかります。
まるで、焼けた火箸を押し付けられたような・・神経を掻き毟られるような・・例えようもない痛みが、私の全身を駆け巡るのです。

私の目から、涙が噴きこぼれています。
あまりにも酷い、本当に鋭い残酷な激痛が、私を苛んだのです。


ふと気が付いた時、まだズキズキとした焼けるような痛みが残っていました。
ホンの僅かの間、私は気を失っていたのです。
ご主人様の顔が、私を覗き込むように、目の前にあったのです。

ダメよ、今日は・・・気を失ったぐらいじゃ、許さないから・・・
やっと針が通ったわよ・・これで、まどかのあそこ・・隠れられないわ・・

でも、まどかって・・本当にイヤらしいのね・・・
すっごく膨らませて・・グチャグチャに濡らすんだから・・

まだ私の意識は、霞がかかっているようでした。

ぼんやりと目に写っていた、ご主人様の顔が見えなくなった瞬間です。
私は再びあそこに、まだ疼いている敏感な突起に、次の激痛を感じたのです。

アアァッッ!!・・イアアィィッッ!!!・・・
ヤ、ヤ、ヤメテエェェッッッ!!!・・・

それは何をされているのか、見当も付かないほどの激痛でした。
実際にされたことは、ご主人様に針を通されて剥き出しにされた、私の敏感な突起の頭のところを、歯ブラシで擦り上げられたのだそうです。
私のそれは、固く充血し、歯ブラシの動きのままに、前に後ろにと首を振っていたのです。

それは、どれ程私が身体を捩り脂汗を流しても、全身を痙攣させてさえも許されずに続く激痛だったのです。

私は、目の前が真っ白になったかと思うと、次に漆黒の闇になり、その闇の中に赤や黄の星が輝くと、再びまた白くなるのです。
その激痛は、私の全身を責め苛み、私は瘧のように痙攣し続けたのです。
そして再び、何もない闇が私を包んで・・・


遠くから、ご主人様の囁きが聞こえています。
最初は何を言われているのか判らなかった囁きが、段々ハッキリしてきたのです。

綺麗に・・なったわよ・・
まどか・・のあそこのところ・・・
歯ブラシで・・よーく磨いて・・あげたから・・・
でも・・血だらけに・・なっちゃった・・・

だから・・洗って・・あげる・・・
塩水よ・・・きもちイイ?・・・

まだぼんやりとしている私が、ご主人様の言われている意味が理解できる前に、次のお仕置きが始められたのです。

イイイィィッッッ!!!・・ィイアアアィィィッッッ!!!・・・

私の頭に、また新たな激痛が突き刺さったのです。
ご主人様は、私の血まみれになるほど傷つけられたク○○○スを、コップの塩水に浸した歯ブラシで、また擦り始めたのだそうです。

ただでさえ敏感な器官の、傷つけられた薄い表皮に、固いブラシの穂先が触れるのです。
それだけでも、とても耐えることのできない激痛です。
その穂先が、塩水に濡れているのです。

傷口に、私のク○○○スに塩水が滲み入った瞬間、私は口に詰められたハンカチの奥から、声にならない絶叫を上げ・・・そして三度目の、闇の中へ突き落とされたのです。


気が付いた時、もうすっかり明るくなっていました。
窓からは、夏の日差しが差し込んでいます。
爽やかな風が、通り抜けて行きました。

私はパジャマを着せられて、ベットに寝ていたのです。
目を向けると、机の椅子に妹が腰を掛けていました。
泣いていたような、赤い目をしていたのです。

お父さんもお母さんも、もう出かけたわ・・
お姉チャン、どうしたかって聞かれたから「お寝坊でしょ」って答えたけど・・
今日から夏休みだし・・お父さんは「珍しいな」って言ってたわ・・

お姉チャン、私・・・やっぱりダメなの・・・
だから・・この頃、遊ばないように・・してたんだけど・・・

夕べ、お姉チャンのこと、取られるかと思うと・・
急にたまらなくなって・・・どうしても止められなかった・・・

好きよ・・好きなの・・・でもこんなの、やっぱり変だよ・・・
昨日も、最後にお姉チャンのオモチャ・・入れて上げようと思ったの・・・
だ、だけど、できなかった・・・私じゃ、できないの・・・

だから、お、お姉チャン・・・誰か・・誰か好きな人、探してっ・・・

そこまでヤッとのように言った妹は、目頭を押さえるようにして、走るように部屋を出ていってしまったのです。
後に、微かな涙の香りをのこしたまま・・・


私は・・私は無理に、妹を変えてしまったのでしょうか。
・・・今、冷静に考えてみると、これは私の我が儘、私の自分勝手な欲望、人往かぬ道でしかないのです。
妹も、自分の道を、自身の希望を求める権利があるのです。

でも、でも私は寂しい思いをしていたのです。
これで終わってしまうのかと思うと、とても耐えられない気がしたのです。


これは夢だったのでしょうか・・でも、もう一度会いたい・・ご主人様に・・・


終 章:旅 立

アァッ、アァッ・・・アアァァッッ・・アアアァァァッッッ・・・

・・これで何度目になるのでしょうか。
また私はめくるめく絶頂を通り過ぎて、果てしのない苦痛の中に、転がり落ちようとしているのです。

本来なら、甘美な快感をもたらしてくれるあの淫靡な器具が、私の敏感な器官を苛み続けているのです。
これほど長い時間、永遠かとも思われる時間を責め続けられると、これは苦痛・・本当に苦痛でしかないのです。

その苦痛の中で、私の肉体はまるで機械のように、一定の周期で反応してしまい、大波の頂点に突き上げられ、そして再び谷底に叩き落とされるのです。


私は今、自分のベッドに縛り付けられているのです。

私の両手は一纏めにして綿のロープで縛られ、そのロープはベッドの頭の方に固定されています。
そして足首は、それぞれ別のロープでベッドの左右の脚に、引き絞られているのです。
私はベッドの上で仰向けに、「人」の字の形にされて、身動きも許されぬ状態で寝かされているのです。

私の身体には淫靡な器具が、外れることのないようにテープで貼り付けられています。
両の乳首と、それよりもっと敏感な突起には、あのピンクのパールロータが、そして最も罪深い欲望の源には、私の購入したバイブレータが深々と差し込まれ、テープで押さえ付けられているのです。

こうして一つの抵抗も許されぬまま責め苛まれて、もうどれ程の時間が経ったのでしょうか。
私はその耐え難い苦痛と、苦痛の合間に時折訪れる快楽の絶頂に、身を焼かれ続けていたのです。


今日は、あの日からちょうど1年目に当たるのです。

そうです。
インターネットで、私の被虐への憧れを満たしてくれるHPを、初めて検索し探し出したあの日から、ちょうど1年経つのです。

あの日から、私は何と遠くまで来てしまったのでしょう。
もう、あの日より前のことは、想い出すこともないのです。
あの日より前に、帰ることもないのです。
これは私の往くべきところ、私の安らぎの場所なのです。

あの日から、私は暫く一人で歩いていたのです。
まるで、生まれたての赤ちゃんが手探りをするように、手に触れるものを一つ一つ掴んで確かめるように・・初めての世界を、少しずつ見回しながら、一歩、また一歩と進んで行ったのです。

そしてそれから3ヶ月、私は素晴らしいご主人様に巡り会うことができました。
その日から二人で手を取り、二人で探しては見つける秘密の扉。
その扉を開く度に、そこに開ける美しい花園。
それまで存在することすら知らなかった、あの甘美な世界。・・・それは本当に楽しい、二人の探索の旅でした。

私たちは、最初は恐る恐ると、次第に大胆になって、貪欲に次から次へと新しい扉を探し、その中に浸って行ったのです。

ご主人様・・・私は、私は本当に幸せだったのです。


でも、何時からだったのでしょう。
私が、私だけが先に進んでいて、気が付いた時にはご主人様とはぐれていたのです。
私は突然、また一人だけで歩いていることに気が付いたのです。

振り返ると、ご主人様はもう遠く離れ、私の方を見ながらも少しずつ、少しずつ後戻りをされていたのです。
あぁ、もっとしっかりと手を繋いでいなければ、ならなかったのでしょうか。
それとも、私があまりに急ぎすぎたのでしょうか。
もっとゆっくりと歩かなければ、いけなかったのでしょうか。

私には、もう元の世界に帰る場所はないのです。
でもご主人様は、元の世界に、父母も、親戚も、そして大勢の学校の友達も住む、あの世界に戻って行かれたのです。


私は今朝、ご主人様に最後のお願い、最後の我が儘を聞いて頂きました。
私の泣きながらのオネダリに、ご主人様はやっと頷いて下さり・・・・私をベッドに固定して、私の身体にあの器具を取り付けると、外出されたのです。
そして私は、一人家に取り残されて、もう何時間も苦痛と快楽の世界を往き来しているのです。

これが私の世界、私のこれから生きて行く世界なのです。


いつしか私は眠っていたのでしょうか、それともあまりの苦痛と快楽に気を失っていたのでしょうか・・・
ふと気が付いて目を開けると、妹が私のベッドの端に腰を掛けていました。
私の身体からは、私を責めていた器具が取り払われ、普通にパジャマを着せられていたのです。

妹は、私が目を開けたのに気付くと、静かに話し始めました。

お姉チャン・・・どうだった?・・・もう満足できた?・・・

今日一日、考えていたの・・・やっぱりわたしはダメ・・・どうしても・・・
わたし、怖いの・・・普通の生活を、捨てられないのよ・・・

友達とお茶を飲んだり・・オシャベリしている時・・・
みんなHな本や・・あんな雑誌を読んでるから・・いろいろ話すのよ・・・
だけど、わたし・・そんな時、叫びたくなるわ・・・
そんなのウソよっ・・あなた達は、何も知らないのよって・・・

でも・・やっぱり知らない方がいいの・・・知らないのが本当なのよ・・・

わたしも・・もっと大人になったら・・変わるかもしれないけど・・・
でも、今はやっぱり・・これ以上、知らない方がいいと思うの・・・

あのね、お姉チャンのこと・・恨んでないし・・・好きよ・・とっても・・・
一緒にいたい・・・わたしだって、ずっと一緒にいたいの・・・
でも、ついていけない・・もう、続けられないのよ・・・

妹はそこまで言うと、ハンカチで目を押さえながら寝室から出ていったのです。
あぁ・・私は一人・・本当に一人になったのです。


私は、疲れ果てた身体と、重い気持ちを引きずって窓際に行き、カーテンを開けたのです。
もう夕方になっていました。
窓を開けると、息苦しく澱んでいた部屋の中を、新鮮な甘い風が通り抜けてゆきました。

私は涙を流すこともできませんでした。
私の目には何も映っていませんでした。
夏の夕暮れに鳴く、あのセミの声さえ聞こえていなかったのです。
私の胸は鉛を詰められたように、それほど重く沈んでいたのです。

それでも暫くジッとしていると、窓を通り過ぎる風が、そんな私の心を融かしてくれるようでした。
何も感じられず、何も考えられなかった私に、優しく静かに囁き掛けてくれたのです。
そして少しずつ、少しずつ私の心は癒やされていたのです。

その風に吹かれている時に、私は突然気が付いたのです。

私は、やっぱり自分勝手だったのです。
私一人が、苦しんでいるのではなかったのです。
ご主人様も、苦しんでいたのです。
私よりも一層辛い思いを、耐えていたのです。

それを・・・それなのに、私は無理に愛して貰おうとして・・・
私一人が、一人だけが不幸を味わっていると、思い込んでいたなんて・・・

あぁ、ご主人様・・・申し訳ありませんでした。
ご主人様の、あなたの気持ちを思うと、私は今・・・何かしてあげたい、精一杯のお返しをしてあげたい・・・そんな気持ちで、胸が張り裂けそうです。

でも、ご主人様・・
きっとあなたは、自分の道を、自分の幸せを見つけて行かれるのですよね。
私は、もしあなたが必要な時はお手伝いします。
そうでない時は、静かにあなたのことを、見ていることにします。

あなたを、ご主人様を、これ以上苦しめたくないのです。
幸せになって欲しいのです。

そして、私も、私だって幸せを見つけてみせます。

そうです。
もう、私は一人でも大丈夫です。
一人で生きて行くしかないのです。

でも、きっとどこかに、私と歩いてくれる人がいる・・・
私と手を繋ぎ、私を導いてくれる人がいる・・・
必ず会える・・いや、必ず見つける・・必ず見つけて貰える・・・

だから、それまで一人で歩いてゆきます。
私は信じて行くだけなのです。
あなたのためにも・・・


そう決心すると、私は少し気が楽になり・・・いつもの足取りで、妹の部屋に歩き始めたのでした。



私は、もう一度旅に出るのです・・・きっと会えますよね・・・ご主人様・・・


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