新・ＳＭ小説書庫二軍

（この体験談は「愛と官能の美学」のShyrock様より投稿して頂いたものです。）




「Ｓｈｙはどうしてそんなに体位に詳しいのか？」というメールをたまにファンの方からいただくことがある。
　元々そんなに詳しいわけではなかったが、ちょっとした切っ掛けで短期間に習得してしまった。
　もちろんそこには体位に深い興味を抱く良きパートナーがいたことも見逃せない。
　その女性と別れてすでに久しいこともあって、その後試してみたけどはっきり憶えてなくてうまく行かなかった体位も中にはあるが・・・。

　さて、ではどんな切っ掛けで多くの体位を覚えることができたのか？
　数年前、人事異動で東京に転勤し某区の１ＬＤＫで暮らしていた。
　その頃知合った女性が時々エッセイ等に登場する奈々子であった。
　彼女は当時２３才で某広告代理店に勤め営業を担当していた。
　ふたりは知人の主催する合コンで知り合い、急速に親密さを深めた。

　そして、付き合い始めて２ヵ月が経過した。
　渋谷で遊んだ帰りに、奈々子が買いたい本があると言い出し本屋に寄ることにした。
　いつも購読している女性月刊誌を買いたいらしい。

「今日発売日なの。ねえＳｈｙ、今月号の特集知ってる？」
「知らないね～。女性誌のテーマを男の僕が知ってるはずないじゃないか」
「うふ、実はね、大きな声じゃ言えないけどラーゲ特集なの」
「なんだって！？a○○nって一流雑誌だろう？そんな有名な雑誌でもエッチな特集を組むことってあるの？」
「最近はね、どこの女性誌でも競ってラヴ特集やってるの。その方がぐんと売上げが伸びるんだって～。今まで男性誌の独断だったＳＥＸを女性読者にもたらすことで支持を受ける。この特集はやるたびに売れ部数を相当伸ばしたらしくやめられないんだって。でも雑誌の品位を保つため毎月特集を組むってわけにはいかないらしくって数ヵ月に１回やるって聞いたわ」
「ふうむ、なるほど。さすが広告代理店！やっぱり詳しいね～。ところで、奈々子は体位に興味あるのか？」

　僕は声を潜めることなく普通のボリュームで奈々子に尋ねた。

「しっ！声が大きいわ！もう～恥ずかしいじゃないの～。（声を潜めて）そりゃあそうよ、大きな声じゃ言えないけど、女の子っていくら気取っててもね、そっち方面にはかなり興味を持ってるものなのよ～」
「へ～、そうなんだ。じゃあ、もっと詳しく掲載してる専門書を買えばいいじゃない？」
「専門書？やだぁ～、そんなの恥ずかしくて買えないよ～。絶対にムリ～」
「じゃあ、僕が買うよ」
「え～？マジで？」
「もちろん」

　そんなこんなで、結局ラーゲの専門書を探すことになった。
　かなり大きな書店なのでたぶん在庫はあると思うのだが、内容が内容だけにどのコーナーに置いてあるかを店員に尋ねるのもバツが悪く、ふたりは店内を目を皿のようにして探し廻った。（今だと大型書店にはコンピューターが設置されていて著者やタイトルのキーワードを打ち込むと簡単に在庫の有無が確認できるが、当時はまだそんな設備が無かった）

　苦労の甲斐あって待望の１冊がようやく見つかった。
　ところが、いざページをめくってみると、お～お～、あるわあるわ、絡み合い、乳繰り合いのオンパレード！もちろん、裏本のようなマイナーな本では無かったので、モデルさんは男女ともにちゃんと下着を着用していたが（＾＾；）
　僕は早速、奈々子が先に選んでいた某女性誌とともにそのラーゲ専門書を握りしめレジーへと向かった。
　レジーには若い男性店員がいた。
　僕としては何となくホッとしたし、店員も表情を変えることなく淡々と専門書を包装していた。
　僕の方に目を向けないのは助かったのだが、ちらりちらりと横に立っている奈々子の方を窺っていた。
（これこれ！見るでない！）と心の中でいつしか叫んでいた。

　そして夕飯の後、専門書を小脇に抱えてラブホへ一直線。
　金曜日で翌日が休みと言うこともあって、最初からお泊り予定でチェックイン。
　ふたりは部屋に入るや否やソファに腰を掛けて、キス１つすることもなく、むさぼるように読書（？）に没頭したのだった。

　ページをめくっていくうちに驚くような体位が現れて、思わず僕が、

「おっ！これすごい！ねえ、これ一度やってみない？」
「私、こんなのやったことない～」
「僕は１回あるかなあ」
「はぁ？誰とぉ～？」
「ええっ！？あれ？奈々子とやらなかったかあ？」
「やってないよ～。もう！誰とやったのよ～」
「今、そういう話題じゃなくて・・・。ねえねえ、これすごいじゃないの！この体位、奈々子とやってみたいなあ～」
「ああん、こんなの見てたらだんだん感じてきたぁ～・・・」