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「ありさ 悪夢の公衆便所」作:Shyrock
(この小説は「愛と官能の美学」のShyrock様より投稿して頂いたものです。)
第1話
その夜、クラブ活動を終えた大学生ありさ(20才)は速足で家路へと向かっていた。
大学のサッカー部が運よく全国大会への出場を果たしたこともあって、チアガール部に所属しているありさは授業後も毎晩遅くまで練習に励んでいた。
すでに午後10時を回り電車の本数もわずかとなっていたため、乗り遅れないようにと急ぎ足で校舎を後にした。
校舎を出る時かすかにもようしていた尿意が次第に高まっていた。歩き始めた時は「駅までの辛抱」と堪えられたのだが、駅までの中間点辺りに差し掛かった頃、すでに限界に達していた。
「あぁ~弱ったなあ・・・。もう我慢しきれないよ~・・・。校舎を出る時にしておけばよかったなあ~・・・」
ありさが差し掛かった辺りは比較的人通りが少なく、おまけに街灯もまばらで薄暗かった。
「あっ、そうだ!あそこの角を左に曲がると公園があったわ。確か公園の中に公衆便所があったはずだわ!」
通い慣れた道とは言っても、公園がある場所は経路から少し逸れるので、すぐにありさの脳裏に浮かばなかった。
しかし不慣れな便所にはできるだけ行きたくないので、できることなら駅に着くまで我慢をしたかったが、今のありさにはもうその余裕がなかった。
ありさはすがるような思いで一目散に公園の便所へと駆けて行った。
「はぁはぁはぁ~、はぁはぁはぁ~」
やがてぼんやりと鈍い光を放つ外灯がありさの目に飛び込んできた。
そしてその街灯の少し先には公衆便所があった。
「あっ!あった!よかった~!ひぃ~、もう漏れそう~~~!」
公衆便所までたどり着くと『男子・女子』を指し示す案内プレートがあった。
当然ながらありさは『女子』の方へ急いで駆け込んだ。
公衆便所内はガランとしていて人の気配がない。
左側には個室が3つ、右側には洗面器が3つ並んでいる。
公衆便所特有の臭気はあまりなかったが、どんよりと淀んだ空気が何やら不気味さを漂わせていた。
しかし、今はそんなことを言っている余裕などない。
すでに限界まで達していて腹が破裂しそうだ。
とにかく早く用を足したい。
ありさは迷うことなく一番手前のトイレに駆け込んだ。
(ガチャ)
見ると便器は洋式で幸い汚れもなくきれいだ。
ただし壁には沢山の落書きで書きなぐられていてかなり汚い。
しかし公衆便所ではよくあることで別に珍しくはない。
ありさは気に止めることもなく、鞄を棚に乗せ、急いでスカートをまくり上げ、パンティを下ろした。
便座に腰を下ろす。
座るやいなや膀胱に溜まっていた液体が音を立てて放出を始めた。
「ふぅ~・・・」
ありさは安堵のため息をついた。
濡れた箇所をティッシュで拭った後、ロータンクのレバーを廻した。
水が勢いよく溢れ出す。
やっとふだんの自分に戻った気がした。
ありさは何気に壁の正面に書いてある落書きを見た。
「ん・・・?」
『ありさとエッチしたい』
「やだぁ~、私と同じ名前じゃん。あはは~・・・。ん?ここ、女子便所なのに、まるで男が書いた落書きみたい~。へんなの・・・?」
その落書きの少し右上には・・・
『ありさのパンティはピンク』
と書かれていた。
その日ありさが穿いていたパンティは偶然にもピンク色だった。
「なんで?私のと同じじゃん・・・な~んかへん・・・」
今度は最初見た落書きの左側に目を移した。
『ありさはレイプされる』
「な、なによ!これっ・・・!?なんで・・・?なんで私と同じ名前ばかり書かれているの?薄気味悪いわ・・・やだ~!早くここ出ようっと!」
ありさは慌ててパンティを上げながら、ふと後を振り返った。
後にも落書きがいっぱい書かれている。
その中でもひときわ大きな字で書かれた落書きを見て、ありさは愕然とした。
『ありさは二度とここから出られない』
第2話
誰かの悪戯かも知れないが、偶然にしては状況があまりにも符合し過ぎている。
「きゃぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~!!」
恐怖に襲われたありさは思わず悲鳴を上げてしまった。
ありさはすでに顔色を失っている。
急いでドアのノブを握りしめ必死に廻した。
「ここから出れないなんて、いやだぁぁぁぁぁ~~~~~~!!お願い!開いてよぉ~~~!!」
(ガチャガチャガチャ・・・!!)
すると・・・
(カチャ・・・ガタン・・・)
ドアは容易に開いた。
「な~んだぁ・・・開いたじゃないの~。もう~脅かさないでよぉ~」
ありさは安堵のため息をついた。
「きっとどこかのありさちゃんが嫌われてて落書きされたんだぁ・・・それにしても同じ名前だなんて・・・もう、びっくりしたじゃん~」
ぶつぶつと独り言をつぶやきながら、トイレを出て洗面所の鏡を見たありさは顔が引きつった。
「ええっ!?な、なにっ!!あれはっ!!」
洗面所の3枚の鏡には、赤い文字で卑猥な言葉が書きなぐられていた。
一番左側の鏡には『ありさ』
中央の鏡には『オマンコ』
一番右側の鏡には『命中』
文字は今書かれたばかりのようで、まだスプレーの赤いしずくが垂れている。
赤いしずくが血を連想させて、いっそう不気味さを醸しだす。
「だれ?だれが書いたの・・・?いやぁ・・・いやぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
ありさは悲鳴を上げながら便所の出口へと駆け出した。
「えっ・・・?うそっ・・・!?」
確か公衆便所へ入った時は、戸が開けっ放しだったはずなのに、今は戸が締まっている。
「そんなぁ!!」
ありさは戸を引いてみた。
だが、戸は開かない。
鍵が掛かっているようだ。
(ガッガッガッ!!)
「開いてよぉぉぉぉぉ~~~~~~!!」
ありさは半べそをかいている。
(ガッガッガッ!!ガッガッガッ!!)
全身に力を込めて引いてみたが、戸は無情にも開くことはなかった。
「あぁ・・・どうしよう・・・ここから出れないよぉ・・・」
さきほどのトイレ内に書かれていた落書きが脳裏に浮かんできて、ありさは恐怖におののいた。
(ガンガンガン!!ガンガンガン!!)
「だれか助けてぇぇぇぇぇ~!!ここから出してぇぇぇぇぇ~~~!!」
(ガンガンガン!!ガンガンガン!!)
いくら叩いてもアルミ製の引き戸はびくともしなかった。
その素材が持つ冷ややかな感触がありさの指に伝わってくるだけであった。
「あぁ、どうしよう・・・こんな所に閉じ込められるの嫌だよぉぉぉぉぉ~・・・」
ありさはがっくりと肩を落とした。
「他に出口はないし、困ったなぁ・・・それにだんだん冷えてきたし・・・あぁ・・・公衆便所に寄らなければよかったぁ・・・」
口を突いて出るのは愚痴ばかり。
ありさは途方に暮れた。
第3話
いくら力を込めても引き戸は開かない。
開けることを断念したありさは便所の中央へと戻っていった。
鏡に書かれた卑猥の文字がまた目に飛び込んできた。
「悪戯だわ・・・きっと誰かが私に嫌がらせをしているんだわ・・・」
だけどいくら考えてみても、最近誰かと争った憶えもないし、他人に怨まれるようなことをした記憶もなかった。
「いやだぁ・・・私、人に嫌われるようなことなんか何にもしてないのにぃ・・・男の子を振ったわけでもないし・・・いったい誰があんな文字を・・・」
鏡に書かれた赤い文字は、先程見た時よりもしずくの垂れ方がひどくなっているような気がした。
「いやぁぁぁぁぁ~~~・・・き、気味悪い・・・」
鏡の周囲に目を移してみると、黒い文字で書かれた別の落書きが目に飛び込んできた。
『ありさは悪魔のいけにえとなる』
「ひぃ!!」
さらにその下には、
『ありさは悪魔に生殖器を捧げる』
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!悪い冗談はもうやめてよぉぉぉぉぉ~~~~~!!私を早くここから出してぇぇぇぇぇ~~~~~!!」
大きな声で叫んではみたが、声が壁にぶつかりこだまとなって返ってくるだけであった。
そしてその後に訪れるものは、恐ろしいほどの静けさであった。
静寂は人にやすらぎを与えることもあるが、時にはひときわ恐怖を煽り立てる場合もある。
現在は明らかに後者であった。
ありさを恐怖に駆り立てたのはそれだけではなかった。
出入り口に近い場所の天井に取り付けられている蛍光灯が、突然チカチカと点滅を始めたのだ。
「なぜ?なぜこんな時に電気が点滅するの?・・・いやぁぁぁ~~~・・・」
人間は恐怖に陥ると本能的にその恐怖から逃避しようとする傾向がある。
「きゃぁ~~~~!!やめてぇぇぇぇぇ~~~~~!!」
出入り口に近い蛍光灯が点滅し一層の恐怖心を煽られたありさは、とっさに蛍光灯から最も離れた場所、すなわち一番奥の個室内へと逃げ込んだ。
(ガチャガチャガチャ!)
慌てて扉をロックするありさ。
顔は真っ青で、唇がわなわなと震えている。
「ここなら・・・ここなら・・・少しましかも・・・(ガクガクガク)」
便座は扉の方を向いて座るようになっており、背後が壁で、隣との間仕切りは合板で仕切られている。
一番奥の個室へ飛び込んだ直後は気づかなかったが、よく見ると右側個室との間仕切り板に小さな穴が開いているのが分かった。
穴は立った人間の腰に当たる位置にあり、大きさは直径7センチほどであった。
「ん?こんな所に穴が開いている・・・嫌だわ・・・」
変質者が覗きをするために以前開けられた穴だろうか。
でもこんな大きな穴が開いていると女性は当然気がつくし、警戒してトイレを利用しないのではないだろうか。
ありさはぽっかり開いた穴を見つめながらいぶかしげに思った。
(あ、もしかしてここにも落書きがあるかも・・・)
ありさは突然先程入った個室の落書きを思い出し周囲を見回した。
壁等には落書きがあるにはあったが、先程のような“ありさ”という固有名詞は見つからなかった。
「ふう・・・ここには書かれてないわ・・・」
ありさがほっと安堵のため息をついたその時、またもや異変が起きた。
先程までは出入り口附近の蛍光灯が点滅しているだけであったが、今度は便所内にある全ての電球が点滅を始めたのだ。
「きゃぁぁぁぁぁ~~~~~!!ど、どうして!?もういやぁぁぁぁぁ~~~~~!!だ、誰か助けてぇぇぇぇぇ~~~~~!!」
次第に点滅が早まり、まもなく非常灯を除く全ての電球が消え、便所内は真っ暗になってしまった。
第4話
「まっ、まっくら・・・いやだぁ・・・こ、こわい・・・あぁ・・・こわい・・・」
照明の点滅も不気味なものだが、暗闇の訪れはありさをさらなる恐怖に陥れた。
「いやっ・・・私が一体何をしたというの・・・?どうしてこんな恐い目に遭わすのぉ・・・?いやぁ~~~~~~~~!!もう許してぇ~~~~~~!!」
叫んでも、自身の声が反響して返ってくるだけだった。
ありさは涙声になっていた。
もしかしたらこれはありさを苛めるために、誰かが仕掛けた悪戯なのだろうか。
それとも非科学的な話ではあるが、一種の超常現象が発生したのだろうか。
原因が何かは分からないが、いずれにしてもこの局面から早く脱出しなければならないことだけは確かであった。
とは言ってもこの狭い個室から抜け出して、非常灯のみの暗闇の中をさまよい出入り口までたどり着いたとしても、引き戸が開かないのだから外への脱出は叶わない。
今のありさにとっては暗い便所内をさまようことの方がもっと恐ろしかった。
それならまだこの狭い個室内に閉じこもっている方がましだ。
夜明けが訪れたら窓から明かりが差し込むので活動も楽になり、きっと脱出の方法が見つかるだろう。
とにかく夜明けまで数時間の我慢だ。
ありさは個室からは出ないで中で篭城することにした。
それから5分が経過した。
ありさは静寂と暗闇の中で立ったまま息をひそめて耐えている。
微かな疲労感を覚えた。
鞄をロータンクの上に置くことにした。
便器の蓋を閉めてその上に腰を掛けた。
スカート越しに便座の冷たい感触が伝わってくる。
夜も更けて、かなり気温が下がっている。
「あぁ・・・寒い・・・」
ありさはバーバリーチェックのマフラーを巻き直し、コートの襟を立てた。
「ううう・・・寒いよぉ・・・」
ありさを責め苛んだのは暗闇と寒さだけではなかった。
それは時間の経過の異常なまでの遅さであった。
まるで時が止まってしまったのではないか、と思わせるほど時間が進まなかった。
もしかしたら永遠にこの暗闇が続くのではないだろうか。
本当に夜明けが訪れるのだろうか。
ありさの心に不安がよぎった。
緊張の連続だったせいか、ありさは尿意をもよおした。
幸いにもここは便所内なので用を足すには困らない。
ありさはおもむろに立ち上がり、便器の蓋を開けスカートをまくった。
パンティを下ろし便座に掛け直す。
まもなく水の弾ける音が聞こえ、ありさはささやかな安堵感に包まれた。
(ふぅ・・・・・・)
ありさは小さくため息をついた。
放出し終わりトイレットペーパーで大事な箇所をそっと拭う。
立ち上がってパンティを上げようとした時、突然、強靭な力がありさを支配した。
「えっ・・・!?」
細い腕のようなものが胴体を拘束している。
それは痩せていて骨っぽい感じがする。
それだけではない。
まるで蛇のように冷たい。
ありさの背中に悪寒が走った。
「何なのっ・・・!?」
(カチャッ・・・)
次の瞬間、両手が吊り上げられ、手首に紐のようなものが巻きついてきた。
「えっ!?うそ!!なに!?ぎゃぁ~~~~~~~~~~~~~!!」
ありさはまりに突然の事態に戸惑いを隠しきれなかった。
いったい何が起きたのか。
その正体は不明だがそれが悪意に満ちたものであることだけは間違いないと思った。
胴体と手首の自由が奪われてしまって身動きできない。
(ジリ・・・ジリ・・・)
恐ろしく強い力がありさを間仕切り板側へ引き寄せていく。
足を踏ん張って抵抗を試みたが、その力は強大でありさにはとても防ぎ切れなかった。
「いやぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~!!助けてぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~!!」
第1話
その夜、クラブ活動を終えた大学生ありさ(20才)は速足で家路へと向かっていた。
大学のサッカー部が運よく全国大会への出場を果たしたこともあって、チアガール部に所属しているありさは授業後も毎晩遅くまで練習に励んでいた。
すでに午後10時を回り電車の本数もわずかとなっていたため、乗り遅れないようにと急ぎ足で校舎を後にした。
校舎を出る時かすかにもようしていた尿意が次第に高まっていた。歩き始めた時は「駅までの辛抱」と堪えられたのだが、駅までの中間点辺りに差し掛かった頃、すでに限界に達していた。
「あぁ~弱ったなあ・・・。もう我慢しきれないよ~・・・。校舎を出る時にしておけばよかったなあ~・・・」
ありさが差し掛かった辺りは比較的人通りが少なく、おまけに街灯もまばらで薄暗かった。
「あっ、そうだ!あそこの角を左に曲がると公園があったわ。確か公園の中に公衆便所があったはずだわ!」
通い慣れた道とは言っても、公園がある場所は経路から少し逸れるので、すぐにありさの脳裏に浮かばなかった。
しかし不慣れな便所にはできるだけ行きたくないので、できることなら駅に着くまで我慢をしたかったが、今のありさにはもうその余裕がなかった。
ありさはすがるような思いで一目散に公園の便所へと駆けて行った。
「はぁはぁはぁ~、はぁはぁはぁ~」
やがてぼんやりと鈍い光を放つ外灯がありさの目に飛び込んできた。
そしてその街灯の少し先には公衆便所があった。
「あっ!あった!よかった~!ひぃ~、もう漏れそう~~~!」
公衆便所までたどり着くと『男子・女子』を指し示す案内プレートがあった。
当然ながらありさは『女子』の方へ急いで駆け込んだ。
公衆便所内はガランとしていて人の気配がない。
左側には個室が3つ、右側には洗面器が3つ並んでいる。
公衆便所特有の臭気はあまりなかったが、どんよりと淀んだ空気が何やら不気味さを漂わせていた。
しかし、今はそんなことを言っている余裕などない。
すでに限界まで達していて腹が破裂しそうだ。
とにかく早く用を足したい。
ありさは迷うことなく一番手前のトイレに駆け込んだ。
(ガチャ)
見ると便器は洋式で幸い汚れもなくきれいだ。
ただし壁には沢山の落書きで書きなぐられていてかなり汚い。
しかし公衆便所ではよくあることで別に珍しくはない。
ありさは気に止めることもなく、鞄を棚に乗せ、急いでスカートをまくり上げ、パンティを下ろした。
便座に腰を下ろす。
座るやいなや膀胱に溜まっていた液体が音を立てて放出を始めた。
「ふぅ~・・・」
ありさは安堵のため息をついた。
濡れた箇所をティッシュで拭った後、ロータンクのレバーを廻した。
水が勢いよく溢れ出す。
やっとふだんの自分に戻った気がした。
ありさは何気に壁の正面に書いてある落書きを見た。
「ん・・・?」
『ありさとエッチしたい』
「やだぁ~、私と同じ名前じゃん。あはは~・・・。ん?ここ、女子便所なのに、まるで男が書いた落書きみたい~。へんなの・・・?」
その落書きの少し右上には・・・
『ありさのパンティはピンク』
と書かれていた。
その日ありさが穿いていたパンティは偶然にもピンク色だった。
「なんで?私のと同じじゃん・・・な~んかへん・・・」
今度は最初見た落書きの左側に目を移した。
『ありさはレイプされる』
「な、なによ!これっ・・・!?なんで・・・?なんで私と同じ名前ばかり書かれているの?薄気味悪いわ・・・やだ~!早くここ出ようっと!」
ありさは慌ててパンティを上げながら、ふと後を振り返った。
後にも落書きがいっぱい書かれている。
その中でもひときわ大きな字で書かれた落書きを見て、ありさは愕然とした。
『ありさは二度とここから出られない』
第2話
誰かの悪戯かも知れないが、偶然にしては状況があまりにも符合し過ぎている。
「きゃぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~!!」
恐怖に襲われたありさは思わず悲鳴を上げてしまった。
ありさはすでに顔色を失っている。
急いでドアのノブを握りしめ必死に廻した。
「ここから出れないなんて、いやだぁぁぁぁぁ~~~~~~!!お願い!開いてよぉ~~~!!」
(ガチャガチャガチャ・・・!!)
すると・・・
(カチャ・・・ガタン・・・)
ドアは容易に開いた。
「な~んだぁ・・・開いたじゃないの~。もう~脅かさないでよぉ~」
ありさは安堵のため息をついた。
「きっとどこかのありさちゃんが嫌われてて落書きされたんだぁ・・・それにしても同じ名前だなんて・・・もう、びっくりしたじゃん~」
ぶつぶつと独り言をつぶやきながら、トイレを出て洗面所の鏡を見たありさは顔が引きつった。
「ええっ!?な、なにっ!!あれはっ!!」
洗面所の3枚の鏡には、赤い文字で卑猥な言葉が書きなぐられていた。
一番左側の鏡には『ありさ』
中央の鏡には『オマンコ』
一番右側の鏡には『命中』
文字は今書かれたばかりのようで、まだスプレーの赤いしずくが垂れている。
赤いしずくが血を連想させて、いっそう不気味さを醸しだす。
「だれ?だれが書いたの・・・?いやぁ・・・いやぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
ありさは悲鳴を上げながら便所の出口へと駆け出した。
「えっ・・・?うそっ・・・!?」
確か公衆便所へ入った時は、戸が開けっ放しだったはずなのに、今は戸が締まっている。
「そんなぁ!!」
ありさは戸を引いてみた。
だが、戸は開かない。
鍵が掛かっているようだ。
(ガッガッガッ!!)
「開いてよぉぉぉぉぉ~~~~~~!!」
ありさは半べそをかいている。
(ガッガッガッ!!ガッガッガッ!!)
全身に力を込めて引いてみたが、戸は無情にも開くことはなかった。
「あぁ・・・どうしよう・・・ここから出れないよぉ・・・」
さきほどのトイレ内に書かれていた落書きが脳裏に浮かんできて、ありさは恐怖におののいた。
(ガンガンガン!!ガンガンガン!!)
「だれか助けてぇぇぇぇぇ~!!ここから出してぇぇぇぇぇ~~~!!」
(ガンガンガン!!ガンガンガン!!)
いくら叩いてもアルミ製の引き戸はびくともしなかった。
その素材が持つ冷ややかな感触がありさの指に伝わってくるだけであった。
「あぁ、どうしよう・・・こんな所に閉じ込められるの嫌だよぉぉぉぉぉ~・・・」
ありさはがっくりと肩を落とした。
「他に出口はないし、困ったなぁ・・・それにだんだん冷えてきたし・・・あぁ・・・公衆便所に寄らなければよかったぁ・・・」
口を突いて出るのは愚痴ばかり。
ありさは途方に暮れた。
第3話
いくら力を込めても引き戸は開かない。
開けることを断念したありさは便所の中央へと戻っていった。
鏡に書かれた卑猥の文字がまた目に飛び込んできた。
「悪戯だわ・・・きっと誰かが私に嫌がらせをしているんだわ・・・」
だけどいくら考えてみても、最近誰かと争った憶えもないし、他人に怨まれるようなことをした記憶もなかった。
「いやだぁ・・・私、人に嫌われるようなことなんか何にもしてないのにぃ・・・男の子を振ったわけでもないし・・・いったい誰があんな文字を・・・」
鏡に書かれた赤い文字は、先程見た時よりもしずくの垂れ方がひどくなっているような気がした。
「いやぁぁぁぁぁ~~~・・・き、気味悪い・・・」
鏡の周囲に目を移してみると、黒い文字で書かれた別の落書きが目に飛び込んできた。
『ありさは悪魔のいけにえとなる』
「ひぃ!!」
さらにその下には、
『ありさは悪魔に生殖器を捧げる』
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!悪い冗談はもうやめてよぉぉぉぉぉ~~~~~!!私を早くここから出してぇぇぇぇぇ~~~~~!!」
大きな声で叫んではみたが、声が壁にぶつかりこだまとなって返ってくるだけであった。
そしてその後に訪れるものは、恐ろしいほどの静けさであった。
静寂は人にやすらぎを与えることもあるが、時にはひときわ恐怖を煽り立てる場合もある。
現在は明らかに後者であった。
ありさを恐怖に駆り立てたのはそれだけではなかった。
出入り口に近い場所の天井に取り付けられている蛍光灯が、突然チカチカと点滅を始めたのだ。
「なぜ?なぜこんな時に電気が点滅するの?・・・いやぁぁぁ~~~・・・」
人間は恐怖に陥ると本能的にその恐怖から逃避しようとする傾向がある。
「きゃぁ~~~~!!やめてぇぇぇぇぇ~~~~~!!」
出入り口に近い蛍光灯が点滅し一層の恐怖心を煽られたありさは、とっさに蛍光灯から最も離れた場所、すなわち一番奥の個室内へと逃げ込んだ。
(ガチャガチャガチャ!)
慌てて扉をロックするありさ。
顔は真っ青で、唇がわなわなと震えている。
「ここなら・・・ここなら・・・少しましかも・・・(ガクガクガク)」
便座は扉の方を向いて座るようになっており、背後が壁で、隣との間仕切りは合板で仕切られている。
一番奥の個室へ飛び込んだ直後は気づかなかったが、よく見ると右側個室との間仕切り板に小さな穴が開いているのが分かった。
穴は立った人間の腰に当たる位置にあり、大きさは直径7センチほどであった。
「ん?こんな所に穴が開いている・・・嫌だわ・・・」
変質者が覗きをするために以前開けられた穴だろうか。
でもこんな大きな穴が開いていると女性は当然気がつくし、警戒してトイレを利用しないのではないだろうか。
ありさはぽっかり開いた穴を見つめながらいぶかしげに思った。
(あ、もしかしてここにも落書きがあるかも・・・)
ありさは突然先程入った個室の落書きを思い出し周囲を見回した。
壁等には落書きがあるにはあったが、先程のような“ありさ”という固有名詞は見つからなかった。
「ふう・・・ここには書かれてないわ・・・」
ありさがほっと安堵のため息をついたその時、またもや異変が起きた。
先程までは出入り口附近の蛍光灯が点滅しているだけであったが、今度は便所内にある全ての電球が点滅を始めたのだ。
「きゃぁぁぁぁぁ~~~~~!!ど、どうして!?もういやぁぁぁぁぁ~~~~~!!だ、誰か助けてぇぇぇぇぇ~~~~~!!」
次第に点滅が早まり、まもなく非常灯を除く全ての電球が消え、便所内は真っ暗になってしまった。
第4話
「まっ、まっくら・・・いやだぁ・・・こ、こわい・・・あぁ・・・こわい・・・」
照明の点滅も不気味なものだが、暗闇の訪れはありさをさらなる恐怖に陥れた。
「いやっ・・・私が一体何をしたというの・・・?どうしてこんな恐い目に遭わすのぉ・・・?いやぁ~~~~~~~~!!もう許してぇ~~~~~~!!」
叫んでも、自身の声が反響して返ってくるだけだった。
ありさは涙声になっていた。
もしかしたらこれはありさを苛めるために、誰かが仕掛けた悪戯なのだろうか。
それとも非科学的な話ではあるが、一種の超常現象が発生したのだろうか。
原因が何かは分からないが、いずれにしてもこの局面から早く脱出しなければならないことだけは確かであった。
とは言ってもこの狭い個室から抜け出して、非常灯のみの暗闇の中をさまよい出入り口までたどり着いたとしても、引き戸が開かないのだから外への脱出は叶わない。
今のありさにとっては暗い便所内をさまようことの方がもっと恐ろしかった。
それならまだこの狭い個室内に閉じこもっている方がましだ。
夜明けが訪れたら窓から明かりが差し込むので活動も楽になり、きっと脱出の方法が見つかるだろう。
とにかく夜明けまで数時間の我慢だ。
ありさは個室からは出ないで中で篭城することにした。
それから5分が経過した。
ありさは静寂と暗闇の中で立ったまま息をひそめて耐えている。
微かな疲労感を覚えた。
鞄をロータンクの上に置くことにした。
便器の蓋を閉めてその上に腰を掛けた。
スカート越しに便座の冷たい感触が伝わってくる。
夜も更けて、かなり気温が下がっている。
「あぁ・・・寒い・・・」
ありさはバーバリーチェックのマフラーを巻き直し、コートの襟を立てた。
「ううう・・・寒いよぉ・・・」
ありさを責め苛んだのは暗闇と寒さだけではなかった。
それは時間の経過の異常なまでの遅さであった。
まるで時が止まってしまったのではないか、と思わせるほど時間が進まなかった。
もしかしたら永遠にこの暗闇が続くのではないだろうか。
本当に夜明けが訪れるのだろうか。
ありさの心に不安がよぎった。
緊張の連続だったせいか、ありさは尿意をもよおした。
幸いにもここは便所内なので用を足すには困らない。
ありさはおもむろに立ち上がり、便器の蓋を開けスカートをまくった。
パンティを下ろし便座に掛け直す。
まもなく水の弾ける音が聞こえ、ありさはささやかな安堵感に包まれた。
(ふぅ・・・・・・)
ありさは小さくため息をついた。
放出し終わりトイレットペーパーで大事な箇所をそっと拭う。
立ち上がってパンティを上げようとした時、突然、強靭な力がありさを支配した。
「えっ・・・!?」
細い腕のようなものが胴体を拘束している。
それは痩せていて骨っぽい感じがする。
それだけではない。
まるで蛇のように冷たい。
ありさの背中に悪寒が走った。
「何なのっ・・・!?」
(カチャッ・・・)
次の瞬間、両手が吊り上げられ、手首に紐のようなものが巻きついてきた。
「えっ!?うそ!!なに!?ぎゃぁ~~~~~~~~~~~~~!!」
ありさはまりに突然の事態に戸惑いを隠しきれなかった。
いったい何が起きたのか。
その正体は不明だがそれが悪意に満ちたものであることだけは間違いないと思った。
胴体と手首の自由が奪われてしまって身動きできない。
(ジリ・・・ジリ・・・)
恐ろしく強い力がありさを間仕切り板側へ引き寄せていく。
足を踏ん張って抵抗を試みたが、その力は強大でありさにはとても防ぎ切れなかった。
「いやぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~!!助けてぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~!!」
第5話
背中が間仕切り板に触れたところで、急に手首に絡まった紐のようなものに力が加わった。
紐はすごい力で上に引きあげられた。
「えっ・・・!?」
爪先が床から離れ、ありさの身体がわずかだが浮き上がった。
「いやぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!」
爪先を伸ばせばやっと床に着くほどの高さに吊り上げられている。
『バンザイ』する時のような姿勢になっているため、腕の付け根に負担が掛かり少し痛む。
「く、苦しい・・・」
身体が弓なりになりかけた時、例の骨っぽい腕がまたもや腹部に絡み付いてきた。
「ぎゃっ!!」
骨っぽい腕に引き寄せられ、臀部が間仕切り板に密着した。
尻をうしろに突き出したような格好になっっている。
「た、たすけて~~~~~~~~~~!!」
悲痛な叫び声が暗闇の公衆便所に響き渡った。
次の瞬間、ありさは尻のふくらみに異様な感触を感じた。
(ネチャ・・・)
「!?」
(ペチョ・・・)
「えっ・・・!?」
それは粘着質に満ちた不快な感触であった。
腹部に巻き付いた腕と同様にとても冷たく、まるで冷血動物の肉体の一部のようだ。
不快な感触はふくよかな尻を這いずって、尻の谷間へと移動していった。
「えぇっ!?な、なによっ・・・!?うそっ!!」
腹と手首を固定されては、逃げたくても逃げられない。
不快な感触はさらに侵攻を続けた。
尻の谷間に滑り込んだあと、肛門と会唇を通過して陰部へと進んだ。
「そ、そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!」
用便後とあってパンティをずらしていたことが、ありさにとっては不幸であった。
いや、敵はありさがパンティを下ろす瞬間を狙っていたのかも知れない。
いずれにしても不快な感触は確実にありさの陰部を捉えた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!!!やめてよぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~!!!!!」
(ペチョペチョペチョ・・・)
まるで人間の男性が舌を駆使してクリニングスを行う時のような動きを示した。
だが人間の男のそれのように生暖かくはない。
ヘビやトカゲの舌のように冷ややかだ。
ありさは震え上がった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~!!!!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!!!!」
(ペチョペチョペチョ・・・ペチョペチョペチョ・・・)
巧みな舌使いで陰唇を舐めまくっている。
おぞましさがありさを凍てつかせる。
相手は人間なのか、動物なのか、それとも、怪物なのか、魍魎なのか・・・
敵の正体が分からないだけに戦慄感は募るばかりだ。
ありさは腰をよじって不快な感触から逃れようとするが、思うように動くことがかなわず敵の餌食となっていった。
大陰唇と小陰唇を交互に舐め廻したあと、不快な感触は亀裂に沿って前後に動き始めた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!!!!」
不快な感触は人間の舌よりもかなり長く感じられた。
表面には羽毛のようなものが無数に付着していて、鋭敏な縦筋を激しく責め立てた。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~~~~~!!!!!」
第6話
不快な感触はまるで糸鋸を引く時のような動作で、割れ目を擦っている。
得体の知れない魔物の襲来にありさは狂ったように泣き叫んだ。
だが誰も助けに来てくれない。
「ぎゃぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~・・・!!気持ち悪いよぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~!!」
不快な感触は割れ目に沿って食込みを果たすと、ぴたりと動きを止めた。
「・・・・・・!?」
不快な感触はその先端がクリトリスにまで及んでいる。
(ズリュッ・・・)
クリトリスに付着した先端の内側から何やら吸盤のようなものが飛び出してきた。
「えっ・・・!?」
吸盤は突然クリトリスの包皮を剥きあげ、剥き出しのクリトリスを強い力で吸い始めた。
「あっ!!そ、そこはだめ!!」
(キュ~~~~~~~~~~~~ッ!!)
「ひぇ~~~~~~!!いやいや!!やめてっ!!そ、そんなに吸っちゃダメッ!!いやっ~~~~~~~~~~~~!!!!!」
(キュ~~~~~~~~~~~~ッ!!)
ありさの場合、クリトリスの性感は十分に発達しており、包皮を剥かなくても十分に感じることができた。
以前彼氏とのエッチ時に、皮を剥かれて過敏になり過ぎ、彼氏を押しのけ逃げ惑ったことがあったほどだ。
だけど今は逃げることが許されない。
身体が拘束されていて身動きが取れないのだ。
しかもかつて彼氏に吸引された時よりも数倍激しい。
ありさは泣き叫んだ。
快感も度を超えると、時には苦しみに変わることがある。
不快な感触は加減というものを知らない。
ただ機械的に責めてくるだけだ。
機械的ではあるが、まるで女性のツボを心得ているかのように、敏感な箇所を徹底的に責めてくる。
ありさは身体をぶるぶると震わせた。
見方によればその姿は女性が恍惚時に見せる痙攣のようにも見える。
「あぁぁぁぁ~~~・・・そこはぁぁぁぁぁ~~~あぁ、だめなのぉぉぉぉぉ~~~~~~・・・ふわぁぁぁぁぁ~~~・・・はぁぁぁん~~~・・・」
クリトリスを散々いたぶった物体は、同じ箇所を責めることに飽きたかのように、突然先端をクルクルと丸めて蛇の鎌首のような形状に姿を変えた。
鎌首は標的を探すかのように数回亀裂をなぞったあと、膣口を見つけ出し、その卑猥な先端を挿し込もうともがいた。
「いやっ!!!!!いやぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~!!!!!」
ありさの意志とは裏腹に、すでにびっしょりと濡れそぼった膣口が、怒張した鎌首を受け入れるには十分な態勢と言えた。
(ズブリ・・・!!)
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~!!!!!」
標的を見つけ出した鎌首はすぐに活動を開始した。
(ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!)
「ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~!!!!!」
おぞましい感触が繊細な肉襞をこすりつける。
(ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!)
それは男のそれよりも硬く、そして冷ややかだ。
一口に言えば、『冷たい肉棒』と言ったところだろうか。
冷たくはあるが、動きは実に素早くリズミカルだ。
(ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!)
得体の知れないものに犯される恐怖・・・そんな渦中にありながら、ありさの肉体の奥底からは、ゆっくりではあるが確実に奇妙な快感が滲み出ようとしていた。
第7話
これは強姦なのか。
いや、強姦とは「男性器の女性器への挿入」を意味する。相手が人間かどうかが分からない今、ありさが今被っている相手の行為を「強姦」と決めつけるのは早計というものだ。
理屈はさて置き、今ありさが忌むべき事態に陥っていることだけは明らかだった。
ただ、ありさ自身が恐怖のどん底に落とされたことは紛れもない事実であったが、「強姦」と大きく違う点は、奇妙なことに快感を伴う点であった。
ありさは恐怖に苛まれながらも、身体の奥底から込み上げてくる不思議な快楽に翻弄されようとしていた。
「ふぁぁぁ~~・・・やめてよぉ~・・・ああっ~・・・だめぇぇぇ~~・・・はぁぁぁ~~・・・・・・」
鎌首とそれに連なる胴体は、ありさの中で確実に成長を遂げていた。
「うそっ・・・大きくなってきてるぅ~・・・」
膨らんだ鎌首は膣壁を激しく擦りつけた。
「ああっ・・・だめぇ~・・・そんなにこすっちゃいやぁ~・・・ひぃ~・・・ふぁぁぁ~~~・・・」
ありさの場合、Gスポットが敏感すぎるぐらい敏感だ。
そこを軽く触れられただけでも、直ぐにアクメを感じてしまうほどである。
そんな箇所を加減することなく擦られたらどうなってしまうのか。
ありさは忽ち半狂乱になり、狭い隙間からは蜜が止めどもなく溢れ出す。
知ってか知らずか、鎌首はそんなありさのGスポットを徹底的に攻めてくる。
(シュワ~~~~~~~~~~~~~~!!)
突然、結合箇所から潮がふき出した。
ありさがあまりの快感に我慢しきれず潮を噴出させてしまったのだ。
鎌首はそれでもお構いなしに律動を続けている。
(ジュポジュポジュポ!ジュポジュポジュポ!)
「いやぁ~~・・・ひぇぇぇ~~~・・・・・・はふぅ~ん~・・・・・・」
(ジュポジュポジュポ!ジュポジュポジュポ!)
突然、鎌首は恐ろしいほど硬くなり、ぶるんぶるんと痙攣したあと、生温かい液体を噴出させた。
そのおぞましさから、我に返ったありさは絶叫した。
「きゃぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
まるで男性器から精液が膣内に放出された時のような感覚がありさを捉えた。
得体の知れないものに犯されたばかりか、肉体にその痕跡を残されてしまう。
ありさは渾身の力をふりしぼりそれを避けようとしたが、すべてが徒労に終わった。
まもなく膨張していた鎌首は萎縮し出し、艶かしい肉体から撤退を始めた。
だが拘束された両手への戒めはすぐに解かれることはなかった。
膣内に放出された液体がどろりと溢れだし太股を伝った。
冷静に返ったありさにまたもや不快感が到来した。
「いったい誰なのぉ・・・・・・こんなことするのは・・・・・・」
暗闇の中で巻き起こった災難・・・それは竜巻のようなものだった。
ありさという1人の女性を渦中に巻き込み、空高く巻き上げ、大地に叩き落し、そして去っていった。
そんなありさを次に訪れたのは睡魔であった。
得体の知れないものに散々もてあそばれ、疲れ切ったありさはいつしか深い眠りへと落ちていた。
その後、どれだけの時間が経過したのだろうか。
ありさは寒さで目が覚めた。
気がつくとパンティは膝までずれた状態で、コートを尻に敷き、壁にもたれていた。
疲労困憊していつの間にか眠ってしまったようだ。
寒さが身体の芯まで凍みてきた。
(ぶるぶる・・・)
「さ、寒い・・・・・・」
「ん・・・?う、うそっ・・・私、こんなところで眠ってたの・・・?」
ありさはふと腕時計を見た。
針が午前7時を差している。
頭がぼんやりして、身体の一部に疼痛が残っている。
突然、昨夜の出来事が頭をかすめた。
第8話
「昨夜、私を襲ったのは誰かしら・・・。人間?それとも化け物?まさかぁ化け物だなんて・・・。あ、でも、あの冷たさは人間じゃないわ・・・」
思い出すだけでもおぞましく背筋が寒くなった。
「こんなところにいつまでも居られないわ」
一刻も早く脱出したい。
ありさはすぐに乱れた着衣を整え始めた。
格好なんて構ってる場合ではないが、彼女の持つ恥じらいというものが自然にそうさせた。
着衣を整えたありさは、早速ドアのハンドルを握った。
「開くかしら・・・」
不安がよぎる。
(ガチャ・・・)
「開いた!」
個室から出てみると、朝光が天窓から射し込んでいた。
ありさはかすかな安堵感を覚えた。
だがそれは一瞬のことだった。
ありさはすぐに公衆便所の出入り口へと向かった。
出入り口の扉からも朝の光が射し込んでいる。
光は脱出の希望を抱かせる。
ありさは公衆便所の扉を激しく叩いた。
(ガンガンガンガン!!ガンガンガンガン!!)
「お願い!!ここを開けて!!」
(ガンガンガンガン!!ガンガンガンガン!!)
「お願い!!誰か~!!私をここから出して~~~!!」
(ガンガンガンガン!!ガンガンガンガン!!)
すると突然、公衆便所の扉が開いた。
思わずありさは倒れそうになった。
開いた扉の向うには、水色の作業着を着た中年の女性が立っていた。
女性は驚いたような表情でありさを見つめている。
ありさも唖然とした表情でその女性を見つめた。
女性から先に話しかけてきた。
「あのぅ・・・一体どうされたのですか?」
「実は、と、扉が開かなくて困ってたんです!」
「えっ?まさか~。あははは、そんなはずはないですよ~。だってここは公衆便所ですよ~。ふだん鍵は掛けませんよ」
「え?・・・鍵は掛かってなかったんですか・・・?」
女性は、ありさが早朝家から飛び出してはきたが、まだ完全に目が覚めず寝ぼけているとでも思ったようだ。
ありさの慌てふためいた様子を見て、にやにやと笑っていた。
今度はありさから話しかけた。
「ところであなたは・・・?」
「はい、私はこの公衆便所の清掃作業員なんです」
「あぁ、そうなんですか・・・」
ありさは釈然としなかった。
昨夜、渾身の力をふりしぼっても開かなかった扉が、今、簡単に開いてしまっている。
まるでキツネに抓まれたようだ。
ありさは頭が混乱しそうになっていた。
しかし、理由はどうあれ脱出できたことには感謝しなければならない。
ありさはほっと安堵のため息をついた。
(でも昨夜誰かが私を襲ったことだけは紛れもない事実だわ・・・)
ありさは清掃作業員との会話の中で、昨夜起きた忌まわしい出来事だけは話さなかった。
仮に話しても「悪い夢でも見てたのでは?」と一笑に付されるのが落ちだろう。
「おばさん、ありがとう。じゃあね」
ありさは清掃作業員に軽く会釈をし公衆便所を後にした。
公園内をしばらく歩くと、身体の奥で熱い粘液がこぼれ落ちるような気がした。
粘液はパンティに吸収されていく。
かなりの量だ。
ベトベトしてきた。
不快感が走る。
(気持ち悪いなぁ・・・ナプキンを挟んでおけばよかったぁ・・・)
身体の奥に痕跡が残っている。
(やっぱり間違いない・・・昨夜私は誰かにレイプされたんだ・・・)
ありさが再び歩き出すと、木立の陰で何かが「カサッ」と動い気配がした。
完
(投稿元サイト「愛と官能の美学」→小説を初め、18禁コンテンツが盛り沢山の官能サイト。是非ご訪問を)
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背中が間仕切り板に触れたところで、急に手首に絡まった紐のようなものに力が加わった。
紐はすごい力で上に引きあげられた。
「えっ・・・!?」
爪先が床から離れ、ありさの身体がわずかだが浮き上がった。
「いやぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!」
爪先を伸ばせばやっと床に着くほどの高さに吊り上げられている。
『バンザイ』する時のような姿勢になっているため、腕の付け根に負担が掛かり少し痛む。
「く、苦しい・・・」
身体が弓なりになりかけた時、例の骨っぽい腕がまたもや腹部に絡み付いてきた。
「ぎゃっ!!」
骨っぽい腕に引き寄せられ、臀部が間仕切り板に密着した。
尻をうしろに突き出したような格好になっっている。
「た、たすけて~~~~~~~~~~!!」
悲痛な叫び声が暗闇の公衆便所に響き渡った。
次の瞬間、ありさは尻のふくらみに異様な感触を感じた。
(ネチャ・・・)
「!?」
(ペチョ・・・)
「えっ・・・!?」
それは粘着質に満ちた不快な感触であった。
腹部に巻き付いた腕と同様にとても冷たく、まるで冷血動物の肉体の一部のようだ。
不快な感触はふくよかな尻を這いずって、尻の谷間へと移動していった。
「えぇっ!?な、なによっ・・・!?うそっ!!」
腹と手首を固定されては、逃げたくても逃げられない。
不快な感触はさらに侵攻を続けた。
尻の谷間に滑り込んだあと、肛門と会唇を通過して陰部へと進んだ。
「そ、そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!」
用便後とあってパンティをずらしていたことが、ありさにとっては不幸であった。
いや、敵はありさがパンティを下ろす瞬間を狙っていたのかも知れない。
いずれにしても不快な感触は確実にありさの陰部を捉えた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!!!やめてよぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~!!!!!」
(ペチョペチョペチョ・・・)
まるで人間の男性が舌を駆使してクリニングスを行う時のような動きを示した。
だが人間の男のそれのように生暖かくはない。
ヘビやトカゲの舌のように冷ややかだ。
ありさは震え上がった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~!!!!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!!!!」
(ペチョペチョペチョ・・・ペチョペチョペチョ・・・)
巧みな舌使いで陰唇を舐めまくっている。
おぞましさがありさを凍てつかせる。
相手は人間なのか、動物なのか、それとも、怪物なのか、魍魎なのか・・・
敵の正体が分からないだけに戦慄感は募るばかりだ。
ありさは腰をよじって不快な感触から逃れようとするが、思うように動くことがかなわず敵の餌食となっていった。
大陰唇と小陰唇を交互に舐め廻したあと、不快な感触は亀裂に沿って前後に動き始めた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!!!!」
不快な感触は人間の舌よりもかなり長く感じられた。
表面には羽毛のようなものが無数に付着していて、鋭敏な縦筋を激しく責め立てた。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~~~~~!!!!!」
第6話
不快な感触はまるで糸鋸を引く時のような動作で、割れ目を擦っている。
得体の知れない魔物の襲来にありさは狂ったように泣き叫んだ。
だが誰も助けに来てくれない。
「ぎゃぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~・・・!!気持ち悪いよぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~!!」
不快な感触は割れ目に沿って食込みを果たすと、ぴたりと動きを止めた。
「・・・・・・!?」
不快な感触はその先端がクリトリスにまで及んでいる。
(ズリュッ・・・)
クリトリスに付着した先端の内側から何やら吸盤のようなものが飛び出してきた。
「えっ・・・!?」
吸盤は突然クリトリスの包皮を剥きあげ、剥き出しのクリトリスを強い力で吸い始めた。
「あっ!!そ、そこはだめ!!」
(キュ~~~~~~~~~~~~ッ!!)
「ひぇ~~~~~~!!いやいや!!やめてっ!!そ、そんなに吸っちゃダメッ!!いやっ~~~~~~~~~~~~!!!!!」
(キュ~~~~~~~~~~~~ッ!!)
ありさの場合、クリトリスの性感は十分に発達しており、包皮を剥かなくても十分に感じることができた。
以前彼氏とのエッチ時に、皮を剥かれて過敏になり過ぎ、彼氏を押しのけ逃げ惑ったことがあったほどだ。
だけど今は逃げることが許されない。
身体が拘束されていて身動きが取れないのだ。
しかもかつて彼氏に吸引された時よりも数倍激しい。
ありさは泣き叫んだ。
快感も度を超えると、時には苦しみに変わることがある。
不快な感触は加減というものを知らない。
ただ機械的に責めてくるだけだ。
機械的ではあるが、まるで女性のツボを心得ているかのように、敏感な箇所を徹底的に責めてくる。
ありさは身体をぶるぶると震わせた。
見方によればその姿は女性が恍惚時に見せる痙攣のようにも見える。
「あぁぁぁぁ~~~・・・そこはぁぁぁぁぁ~~~あぁ、だめなのぉぉぉぉぉ~~~~~~・・・ふわぁぁぁぁぁ~~~・・・はぁぁぁん~~~・・・」
クリトリスを散々いたぶった物体は、同じ箇所を責めることに飽きたかのように、突然先端をクルクルと丸めて蛇の鎌首のような形状に姿を変えた。
鎌首は標的を探すかのように数回亀裂をなぞったあと、膣口を見つけ出し、その卑猥な先端を挿し込もうともがいた。
「いやっ!!!!!いやぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~!!!!!」
ありさの意志とは裏腹に、すでにびっしょりと濡れそぼった膣口が、怒張した鎌首を受け入れるには十分な態勢と言えた。
(ズブリ・・・!!)
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~!!!!!」
標的を見つけ出した鎌首はすぐに活動を開始した。
(ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!)
「ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~!!!!!」
おぞましい感触が繊細な肉襞をこすりつける。
(ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!)
それは男のそれよりも硬く、そして冷ややかだ。
一口に言えば、『冷たい肉棒』と言ったところだろうか。
冷たくはあるが、動きは実に素早くリズミカルだ。
(ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ!)
得体の知れないものに犯される恐怖・・・そんな渦中にありながら、ありさの肉体の奥底からは、ゆっくりではあるが確実に奇妙な快感が滲み出ようとしていた。
第7話
これは強姦なのか。
いや、強姦とは「男性器の女性器への挿入」を意味する。相手が人間かどうかが分からない今、ありさが今被っている相手の行為を「強姦」と決めつけるのは早計というものだ。
理屈はさて置き、今ありさが忌むべき事態に陥っていることだけは明らかだった。
ただ、ありさ自身が恐怖のどん底に落とされたことは紛れもない事実であったが、「強姦」と大きく違う点は、奇妙なことに快感を伴う点であった。
ありさは恐怖に苛まれながらも、身体の奥底から込み上げてくる不思議な快楽に翻弄されようとしていた。
「ふぁぁぁ~~・・・やめてよぉ~・・・ああっ~・・・だめぇぇぇ~~・・・はぁぁぁ~~・・・・・・」
鎌首とそれに連なる胴体は、ありさの中で確実に成長を遂げていた。
「うそっ・・・大きくなってきてるぅ~・・・」
膨らんだ鎌首は膣壁を激しく擦りつけた。
「ああっ・・・だめぇ~・・・そんなにこすっちゃいやぁ~・・・ひぃ~・・・ふぁぁぁ~~~・・・」
ありさの場合、Gスポットが敏感すぎるぐらい敏感だ。
そこを軽く触れられただけでも、直ぐにアクメを感じてしまうほどである。
そんな箇所を加減することなく擦られたらどうなってしまうのか。
ありさは忽ち半狂乱になり、狭い隙間からは蜜が止めどもなく溢れ出す。
知ってか知らずか、鎌首はそんなありさのGスポットを徹底的に攻めてくる。
(シュワ~~~~~~~~~~~~~~!!)
突然、結合箇所から潮がふき出した。
ありさがあまりの快感に我慢しきれず潮を噴出させてしまったのだ。
鎌首はそれでもお構いなしに律動を続けている。
(ジュポジュポジュポ!ジュポジュポジュポ!)
「いやぁ~~・・・ひぇぇぇ~~~・・・・・・はふぅ~ん~・・・・・・」
(ジュポジュポジュポ!ジュポジュポジュポ!)
突然、鎌首は恐ろしいほど硬くなり、ぶるんぶるんと痙攣したあと、生温かい液体を噴出させた。
そのおぞましさから、我に返ったありさは絶叫した。
「きゃぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
まるで男性器から精液が膣内に放出された時のような感覚がありさを捉えた。
得体の知れないものに犯されたばかりか、肉体にその痕跡を残されてしまう。
ありさは渾身の力をふりしぼりそれを避けようとしたが、すべてが徒労に終わった。
まもなく膨張していた鎌首は萎縮し出し、艶かしい肉体から撤退を始めた。
だが拘束された両手への戒めはすぐに解かれることはなかった。
膣内に放出された液体がどろりと溢れだし太股を伝った。
冷静に返ったありさにまたもや不快感が到来した。
「いったい誰なのぉ・・・・・・こんなことするのは・・・・・・」
暗闇の中で巻き起こった災難・・・それは竜巻のようなものだった。
ありさという1人の女性を渦中に巻き込み、空高く巻き上げ、大地に叩き落し、そして去っていった。
そんなありさを次に訪れたのは睡魔であった。
得体の知れないものに散々もてあそばれ、疲れ切ったありさはいつしか深い眠りへと落ちていた。
その後、どれだけの時間が経過したのだろうか。
ありさは寒さで目が覚めた。
気がつくとパンティは膝までずれた状態で、コートを尻に敷き、壁にもたれていた。
疲労困憊していつの間にか眠ってしまったようだ。
寒さが身体の芯まで凍みてきた。
(ぶるぶる・・・)
「さ、寒い・・・・・・」
「ん・・・?う、うそっ・・・私、こんなところで眠ってたの・・・?」
ありさはふと腕時計を見た。
針が午前7時を差している。
頭がぼんやりして、身体の一部に疼痛が残っている。
突然、昨夜の出来事が頭をかすめた。
第8話
「昨夜、私を襲ったのは誰かしら・・・。人間?それとも化け物?まさかぁ化け物だなんて・・・。あ、でも、あの冷たさは人間じゃないわ・・・」
思い出すだけでもおぞましく背筋が寒くなった。
「こんなところにいつまでも居られないわ」
一刻も早く脱出したい。
ありさはすぐに乱れた着衣を整え始めた。
格好なんて構ってる場合ではないが、彼女の持つ恥じらいというものが自然にそうさせた。
着衣を整えたありさは、早速ドアのハンドルを握った。
「開くかしら・・・」
不安がよぎる。
(ガチャ・・・)
「開いた!」
個室から出てみると、朝光が天窓から射し込んでいた。
ありさはかすかな安堵感を覚えた。
だがそれは一瞬のことだった。
ありさはすぐに公衆便所の出入り口へと向かった。
出入り口の扉からも朝の光が射し込んでいる。
光は脱出の希望を抱かせる。
ありさは公衆便所の扉を激しく叩いた。
(ガンガンガンガン!!ガンガンガンガン!!)
「お願い!!ここを開けて!!」
(ガンガンガンガン!!ガンガンガンガン!!)
「お願い!!誰か~!!私をここから出して~~~!!」
(ガンガンガンガン!!ガンガンガンガン!!)
すると突然、公衆便所の扉が開いた。
思わずありさは倒れそうになった。
開いた扉の向うには、水色の作業着を着た中年の女性が立っていた。
女性は驚いたような表情でありさを見つめている。
ありさも唖然とした表情でその女性を見つめた。
女性から先に話しかけてきた。
「あのぅ・・・一体どうされたのですか?」
「実は、と、扉が開かなくて困ってたんです!」
「えっ?まさか~。あははは、そんなはずはないですよ~。だってここは公衆便所ですよ~。ふだん鍵は掛けませんよ」
「え?・・・鍵は掛かってなかったんですか・・・?」
女性は、ありさが早朝家から飛び出してはきたが、まだ完全に目が覚めず寝ぼけているとでも思ったようだ。
ありさの慌てふためいた様子を見て、にやにやと笑っていた。
今度はありさから話しかけた。
「ところであなたは・・・?」
「はい、私はこの公衆便所の清掃作業員なんです」
「あぁ、そうなんですか・・・」
ありさは釈然としなかった。
昨夜、渾身の力をふりしぼっても開かなかった扉が、今、簡単に開いてしまっている。
まるでキツネに抓まれたようだ。
ありさは頭が混乱しそうになっていた。
しかし、理由はどうあれ脱出できたことには感謝しなければならない。
ありさはほっと安堵のため息をついた。
(でも昨夜誰かが私を襲ったことだけは紛れもない事実だわ・・・)
ありさは清掃作業員との会話の中で、昨夜起きた忌まわしい出来事だけは話さなかった。
仮に話しても「悪い夢でも見てたのでは?」と一笑に付されるのが落ちだろう。
「おばさん、ありがとう。じゃあね」
ありさは清掃作業員に軽く会釈をし公衆便所を後にした。
公園内をしばらく歩くと、身体の奥で熱い粘液がこぼれ落ちるような気がした。
粘液はパンティに吸収されていく。
かなりの量だ。
ベトベトしてきた。
不快感が走る。
(気持ち悪いなぁ・・・ナプキンを挟んでおけばよかったぁ・・・)
身体の奥に痕跡が残っている。
(やっぱり間違いない・・・昨夜私は誰かにレイプされたんだ・・・)
ありさが再び歩き出すと、木立の陰で何かが「カサッ」と動い気配がした。
完
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